内容紹介
・COVID-19の世界的な感染拡大により,新興感染症の脅威と対峙するなかで遺伝子治療技術を用いたワクチンが迅速に開発されたことは,これからこの分野の研究をさらに加速させる大きな転機となると予感させる.
・本特集では,遺伝子治療の新技術,実用化に向けた挑戦,疾患治療の観点から,それぞれの分野のわが国の最先端の先生に執筆をお願いする.
・遺伝子治療製品開発の規制,企業の視点での課題,アメリカでの現状との比較に関しても取り上げることで,研究で育まれた技術をいかして,どのように社会実装へと発展させるのか,そのためのヒントになればと思う.
目次
遺伝子治療の歴史(金田安史)
遺伝子導入技術
新規アデノウイルス製剤─非増殖型ベクターと腫瘍溶解性ウイルス(水口裕之)
遺伝子治療用製品としてのAAVベクター製造(和田美加子・岡田尚巳)
レトロウイルス,レンチウイルスベクター─特徴から臨床応用まで(内山 徹)
ゲノム編集技術の応用(石田紗恵子・真下知士)
ハイブリッド型ベクターシステム(HVJ-E)の開発(中島俊洋)
mRNA医薬とmRNAワクチン(中西秀之・位啓史)
RNA創薬を実現する脂質ナノ粒子のデザイン─細胞内動態制御から体内動態制御まで(秋田英万)
実用化に向けた遺伝子治療技術
遺伝子細胞治療─造血幹細胞を標的とする治療を中心に(大津 真)
がんに対するCAR-T細胞療法(柳生茂希・中沢洋三)
腫瘍溶解性ウイルス(中村貴史)
RNAウイルスベクターの開発(小瀧将裕・他)
mRNAワクチンで注目される遺伝子治療,RNA医薬の現在と今後(吉岡佑弥・石井 健)
遺伝子治療用ウイルスベクターの製造(蝶野英人・峰野純一)
遺伝子治療技術を用いた疾患治療
先天代謝異常症─ライソゾーム病(真嶋隆一・奥山虎之)
血友病に対する遺伝子治療の現状(平本貴史・大森 司)
血液がんに対するCAR-T細胞療法(保仙直毅)
眼科疾患に対する遺伝子治療(池田康博)
パーキンソン病(村松慎一)
末梢閉塞性動脈疾患に対する遺伝子治療の最前線(眞田文博・森下竜一)
表皮水疱症に対する遺伝子治療の歴史と最近の動向(菊池 康・玉井克人)
神経変性疾患に対する遺伝子治療の現況(長野清一・望月秀樹)
肺癌に対する免疫細胞治療(諸富洋介・他)
消化器がんに対する腫瘍融解ウイルス療法(藤原俊義・他)
泌尿器がんの遺伝子治療,ウイルス療法─基礎研究と臨床試験の現状(竹島雄太・福原 浩)
アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の最前線(定平卓也・那須保友)
グリオーマに対する遺伝子細胞療法・ウイルス療法(田村亮太・戸田正博)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)─COVID-19に対する核酸ワクチン開発(林 宏樹・中神啓徳)
遺伝子導入技術が切り拓いた感染症ワクチンの新時代(平井敏郎・吉岡靖雄)
遺伝子治療製品開発
遺伝子治療の臨床開発にかかる規制(内田恵理子・他)
遺伝子治療製品開発─アカデミアからみた現状の課題(久米晃啓)
わが国における遺伝子治療製品開発─企業からみた現状の課題(村上晶彦)
米国における遺伝子治療製品開発の現状(中村直彦・他)
次号の特集予告
サイドメモ
ウイルスベクターと非ウイルスベクター開発の歴史
パターン認識受容体によるmRNA検知
mRNAを用いた遺伝子治療
原発性免疫不全症
遺伝子付加と遺伝子修復
ゲノム編集(genome-editing)
遺伝子組換え技術
miRNA(マイクロRNA)
抗腫瘍免疫応答
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症の遺伝子治療
リピート病
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)とは
p53遺伝子を用いたがんの遺伝子治療の歴史
G47Δ(テセルパツレブ)
REIC/Dkk-3
アデノウイルス
E1領域
イノベーション・エコシステム
ELANE関連重症先天性好中球減少症(ELANE関連SCN)
対立遺伝子特異的ゲノム編集
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