やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

次号予告

298巻12号 (2026年9月19日発行)

人工冬眠がもたらす次世代医療に向き合う

企画:砂川玄志郎(理化学研究所生命機能科学研究センター冬眠生物学研究チーム)

・物語では描かれるものの,人間には不可能であると考えられてきた「人工冬眠」.それがいま,生物学と医学の進展により現実の科学として姿を現しつつある.
・本特集では,体温管理療法(TTM)が抱える生理学的パラドックス,冬眠研究が示す新概念“能動的低代謝”,視床下部のQ神経による冬眠様状態の誘導,超音波刺激という非侵襲的アプローチなど,人工冬眠を再現可能・制御可能な“医療技術”として定義し,現代医療の限界を突破するロードマップを提示する.
・サルコペニアの予防や臓器の長期保存への応用可能性,そして人生に“一時停止期間”が挿入されたとき,死生観や社会制度はどう変わるべきか.哲学・医療倫理の専門家や作家を交えて議論する.

【AYUMI】
はじめに―人工冬眠研究の現在地と,その先にある問い
体温管理療法から代謝制御療法へ―救急集中治療における休眠療法の応用展望
冬眠がもたらす臨床応用の可能性
経頭蓋超音波照射による生理機能制御―自由行動動物への冬眠様状態の誘導に向けて
冬眠様状態を制御する中枢神経機構―低体温・低代謝を導く神経回路とその応用
冬眠動物に学ぶ“衰えない筋肉”―低代謝状態による筋恒常性維持機構
冷やしても死なない細胞の仕組み―冬眠哺乳類の低温耐性メカニズムの解明に向けて
冬眠における時計遺伝子発現の再編成―シマリス肝臓にみる深冬眠-中途覚醒サイクルと末梢時計の部分再起動
低体温・低代謝の人工的導入と医療倫理―いわゆる“人工冬眠”と倫理の接点
[コラム]人工冬眠を描いたフィクション作品群の発展

【TOPICS】
免疫学
日本人COVID-19感染回復者で誘導・維持される強力なHLA-C拘束性キラーT細胞応答
感染症内科学
見逃してはいけないマダニの被害

【連載】
医療にいかす行動経済学(25)
日本における幸福/ウェルビーイングの現状と要因について―医療行動経済学への示唆
知っておくと役に立つ!臨床医のための臨床検査医学講座(13)
糖尿病代謝関連検査
ネオ免疫学 生命進化に学ぶ免疫学のパラダイムシフト(2)
自己と非自己の識別―タスマニアデビルの受難

【FORUM】
分子生物学の臨床応用 “分子”から“疾患・患者”へ(12)
ミトコンドリア病新規検査法の開発―包括的遺伝子検査からマルチオミクス診断への展開