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次号予告

295巻9号 (2025年11月29日発行)

第5土曜特集

心不全診療の未来戦略―ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代

企画:小室一成(東京大学医学部附属病院先端循環器医科学講座)

・心不全は多因子・多機序からなる複雑な疾患群であり,その診断・治療は大きく進歩しつつある.
・特にゲノム医療やAI技術,さらには多臓器との連関や社会的要因まで視野に入れたアプローチが求められる.
・本特集では,基礎から臨床,そして社会実装まで,心不全研究の最前線と今後の展望を多角的に論じることで,未来の心不全診療のあるべき姿を提示する.

【AYUMI】
はじめに
■急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
循環器研究を変えるプラットフォーム戦略―日本循環器研究コンソーシアムの挑戦
心不全の“なりやすさ”をゲノムから読む―GWASが切り拓く個別化予防医療
拡張型心筋症の本質に迫る―ゲノム解析が描く新たな疾患像
肥大型心筋症の多様性に挑むゲノム解析―HCM・HOCM・d-HCMの分岐点
新しいゲノム異常が導く心不全―ゲノムの構造異常とは何か?
ゲノム解析が切り拓く心房細動の病態解明とリスク予測
先天性心疾患における遺伝学的解析の進展―次世代シークエンスの有用性とその次の一歩
遺伝学的視点から迫る肺動脈性肺高血圧症―発症機序の解明と治療革新
心不全の謎を解くシングルセル解析―最新の知見と展望
心不全発症原因としてのDNA損傷―DNA損傷の程度が治療反応性を規定する
心房細動発症のメカニズムに迫る―シングルセル解析の最新知見
大動脈弁狭窄症発症のメカニズム―シングルセル解析は病態に迫れるか
心臓サルコイドーシスの病態を空間的に解き明かす―空間解析が切り拓く新たな理解
Omicsで描く肥大型心筋症の分子地図
プロテオーム解析が拓く左室補助人工心臓離脱予測の新時代
腸内細菌と心不全のクロストーク―新たな治療標的となるのか
循環器ゲノム医療とどう向き合うか?―ELSIからみる未来医療の責任

■多臓器連関という視点から捉える心不全
心血管疾患における体細胞モザイクとクローン性造血
自然免疫記憶が引き起こす心血管病
精神的ストレスによる循環器疾患の発症機序の理解に向けて
心拍応答をつかさどる脳内機構
神経-免疫連関を介した腎保護と血圧制御―心腎連関病態の新たな治療標的
心臓周囲脂肪組織と心不全をつなぐ分子ネットワーク
欧米と異なる日本人のHFpEF―新たな病態解明への挑戦

■AIを活かした未来の心不全診療
マルチモーダルAIが切り拓く心不全診療の未来―診断精度向上・予後予測・個別化医療の新地平
AIとmHealthによる新しい心不全医療の可能性
デジタルツイン技術が切り拓く心不全の個別化医療
音声解析を用いた在宅で心不全評価が可能な技術“Voice-BNP”の開発と社会実装
細胞を生成する―生成 AIが切り拓く次世代のオミクス解析と心臓病研究
医療AIにおけるELSIと心不全診療の未来

■心不全の診断・治療のトピックス State-of-the-art developments and future prospects
多施設臨床研究が導く心不全診療の新たな地平
冠微小循環障害の視点から探る心不全のメカニズム
心エコーAIが拓く心不全診療の未来―実装から現場課題解決まで
進化するCT技術が拓く心不全診断の新時代
既存治療薬の心不全・致死性不整脈治療へのドラッグリポジショニング
心不全における遠隔心リハと個別化の心リハ
補助人工心臓患者における遠隔モニタリングを用いた心不全管理
iPS細胞を用いた心不全・心筋症の病態メカニズム解明と薬物スクリーニング
心臓リプログラミング治療の最前線―新たな再生医療の可能性
遺伝子・ゲノム編集治療による心不全克服への挑戦―心筋症・先天性心疾患の未来