やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

次号予告

287巻10号 (2023年12月9日発行)

補体revisited―抗補体療法はどこまで進んだか?

企画:堀内孝彦(地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市民病院)

・補体には感染防御に働く液性因子としての役割のほか,凝固系の活性化,免疫細胞の増殖や活性化,上皮細胞,神経細胞や骨などの臓器形成,組織の再生など“多面的”な機能を有することが明らかになってきた.
・補体の過剰な活性化は,自己免疫疾患,腎炎,心筋梗塞や脳梗塞などでの虚血再灌流障害,神経変性疾患,移植片対宿主病(GVHD)からCOVID-19重症化に至るまで,さまざまな炎症性疾患の病態形成に関わっていることが推測されている.
・2000年代には遺伝子工学的に作製された抗体による分子標的療法が可能になり,2007年にエクリズマブがfirst-in-classの抗補体薬として登場した.今特集では,“補体の魅力と抗補体薬のすべて”読者に届けられるよう,第一人者の先生方に執筆をお願いした.

【AYUMI】
はじめに―補体の多面性と関連疾患の多様性
臨床に応用する補体の基礎知識
溶血性貧血
非典型溶血性尿毒症症候群―腎疾患に対する抗補体薬の過去と現在,そして未来
自己免疫性神経疾患
ANCA関連血管炎
自閉スペクトラム症と補体C1q
新規抗補体薬の展開―研究の最前線

【連載】
医療システムの質・効率・公正―医療経済学の新たな展開(18)
保健医療の経済学と行動経済学
遺伝カウンセリング―その価値と今後(8)
成人領域における遺伝カウンセリング

【TOPICS】
神経精神医学
交代勤務・夜勤と認知症リスク
医療
チーム医療における医療ソーシャルワーカーの役割

【フォーラム】
世界の食生活(7)
トルコ人の社交のハレとケ―ケシュケキとトルココーヒー
戦後の国際保健を彩った人々(4)
菅波茂―多国籍医師団AMDAの人道支援活動