内容紹介
・ヒトの身体は,各臓器が生体情報を共有し最適な状況を創出することで,たえず変化する環境下で恒常性を維持している.この“臓器連関”は内分泌系のみならず,自律神経系,免疫系,腸内細菌叢や細胞外小胞といった多層的な情報ネットワークによって構成されている.
・糖尿病や肥満などの代謝疾患,心不全,慢性腎臓病,神経疾患,消化器疾患,炎症性疾患や癌などの病気は,単一臓器の機能不全としてではなく,協調機構の破綻として再定義されつつあり,臓器連関の機序を解明することが,多くの疾患の深層に迫ることにつながる.
・本特集では,臓器連関研究の最前線を1冊に凝縮.臓器間ネットワークによる制御や各疾患への影響など,各領域で活躍する研究者たちによる最新知見が,分野を越えた新たな視点をもたらす.
目次
臓器連関と生理機能調節
体温と代謝を調節する中枢神経メカニズムとその加齢変容(中村和弘)
腸ホルモンと迷走感覚神経を介した腸-脳連関による摂食・糖代謝調節(岩﨑有作)
迷走神経による低浸透圧感知と飲水行動調節のメカニズム(大槻智史・市木貴子)
臓器連関と代謝疾患
臓器間神経ネットワークによる膵β細胞の機能と量の制御(川名洋平・他)
腎臓を中心としたエネルギー代謝と臓器連関(菅原 翔・他)
肥満病態における脂肪組織-肝臓の臓器連関と代謝制御(和田 努・笹岡利安)
運動時における肝糖新生を中心とした臓器連関の制御機構(堀内嵩弘・他)
中枢神経系による全身の脂質代謝制御とエネルギー基質選択(近藤邦生)
低血糖を回復させる中枢神経メカニズム(荒木裕大・戸田知得)
脂肪組織-肝臓連関による代謝制御(阪口雅司)
概日リズムが奏でる代謝ネットワーク(佐藤章悟)
交感神経系を介した褐色脂肪組織の制御(米代武司・他)
運動と胎盤による臓器連関機構(楠山譲二)
臓器連関と心疾患
臓器連関が支える心臓の恒常性─心臓マクロファージと骨髄ニッチによる自然免疫記憶(藤生克仁)
自律神経と心不全─病態生理から治療標的としての可能性(岸 拓弥)
免疫系・神経系による臓器連関機序(真鍋一郎)
概日時計がつなぐ腎-肝-免疫細胞-心連関とCKD関連心障害(吉田優哉・松永直哉)
臓器連関と腎疾患
自律神経系と急性腎障害─神経-免疫連関による新たな治療戦略(中村恭菜・井上 剛)
CKDサルコペニアから読み解く腎臓-骨格筋連関(稲葉俊介・萬代新太郎)
CKDと腸腎連関─腸内細菌叢からみた新たな腎保護戦略(渡邉 駿・他)
臓器連関と神経疾患
自律神経を介した神経変性疾患発症機構─αシヌクレイン伝播仮説を中心に(髙橋良輔)
脊髄損傷と臓器連関(上野将紀)
血液バイオマーカー時代に再考するアルツハイマー病における臓器連関(富田泰輔)
パーキンソン病における腸脳連関(岡田畔奈・服部信孝)
免疫系による脳内炎症制御(伊藤美菜子)
求心性迷走神経が脳の認知機能に及ぼす影響(久我奈穂子)
中枢-末梢連関を介した神経回路の修復制御機構(米津好乃・他)
臓器連関と消化器疾患
腸管-肝臓-脳連関を基盤とした疾患理解とその臨床応用(小日向優希・他)
MASHと全身恒常性の再設計─肝線維化改善・肝再生誘導は全身を変えるか(寺井崇二・他)
膵腸軸を基盤とした宿主-微生物間相互作用と炎症性腸疾患(趙 園正・他)
口腸連関から迫る炎症性腸疾患の新たな理解(鬼追芳行・他)
臓器連関と免疫疾患
交感神経によるリンパ球動態制御を基盤とした神経-免疫連関(鈴木一博)
ゲートウェイ反射と慢性炎症性疾患─IL-6アンプを基盤とした神経-免疫連関の分子機構と病態(村上 薫・他)
臓器連関と造血・免疫システム制御(淺田 騰・片山義雄)
神経・内分泌・免疫連関による代謝恒常性制御─腎・血管DNA損傷を起点とした内分泌・免疫ネットワーク破綻と代謝変容(中道 蘭・林 香)
アトピーマーチにおけるIL-13シグナルと2型古典的樹状細胞(cDC2)の役割(久保允人)
臓器連関と炎症性疾患
臓器連関と慢性炎症(高橋 圭・他)
神経系,内分泌系による抗炎症機能制御(安部 力)
トランススケールな視点から理解する神経-免疫-代謝連関(中西由光・他)
臓器連関と腫瘍
臓器連関と代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)関連肝がん(大谷直子)
臓器連関と老化
視床下部を起点とする臓器連関による老化制御(時實恭平)
外側視床下部のNAD+代謝によって支えられる骨格筋機能とサルコペニアの関係性(伊藤尚基・江口貴大)
次号の特集予告
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