内容紹介
・最近の糖尿病学は,病態の解明・薬剤や機器の開発,さらには療養指導法の進歩など,飛躍的に発展している.同時に高齢糖尿病の増加と老年症候群の合併,若年高度肥満糖尿病の増加など,臨床的課題は増加している.
・糖尿病の成因についてとくに発展を遂げたのは,2型糖尿病の遺伝素因の研究である.一方,基礎研究分野においては脂肪組織,骨格筋,肝臓などのインスリン作用臓器において,新たなパスウェイが明らかになってきた.
・最近の糖尿病の成因,糖尿病に対する考え方,診断技術,新たな薬剤などあらゆる分野において,糖尿病の研究や治療が日々進歩している様子を本特集から実感していただければ幸いである.
目次
糖尿病に対する新しい考え方
インスリン発見の歴史 堀田 饒
スティグマとアドボカシー 田中永昭・清野 裕
CGMの進歩と応用 小出景子
新しいインスリンポンプ療法 廣田勇士
ビッグデータを活用した研究 杉山雄大
『糖尿病診療ガイドライン2019』食事療法改訂のポイント 宇都宮一典
肥満2型糖尿病と肥満外科(減量・代謝改善手術) 龍野一郎
コロナ禍における糖尿病診療 山ア真裕・福井道明
基礎研究
インスリン分泌機構−糖尿病の膵β細胞におけるGタンパク質シグナル変換の意義 橋晴美・他
膵β細胞量調節の分子機構 西山邦幸・他
膵島の発生 氷室美和・綿田裕孝
GIPによる脂肪量の制御 山根俊介・稲垣暢也
2型糖尿病におけるグルカゴン分泌異常 北村忠弘
肝臓における“選択的インスリン抵抗性”の分子機構 窪田直人・他
骨格筋によるインスリン抵抗性の調節 岩部真人・他
糖尿病とサルコペニア 野村和弘・他
白色脂肪組織とマクロファージ 桑野剛英・戸邉一之
褐色脂肪細胞 脇 裕典・山内敏正
臓器間神経ネットワークによる代謝制御機構 菅原裕人・片桐秀樹
アディポネクチン受容体作動薬 岩部美紀・他
アディポネクチンの新しい作用 喜多俊文・下村伊一郎
腸内細菌叢と糖尿病 藤坂志帆・戸邉一之
【トピック】
SGLT2阻害薬の登場により見えてきたケトン体の功罪 久米真司・他
骨格筋組織再生を対象としたシングルセルRNA-seq解析 小池博之・大石由美子
長鎖ノンコーディングRNAによる血糖調節機構 松本道宏・長沼孝雄
2型糖尿病および肥満におけるDNAメチル化の最新知見 橋本貢士
成因研究
劇症1型糖尿病−irAEを含む 橘 恵・今川彰久
1型糖尿病に対する免疫修飾療法の可能性 中條大輔
合併症
糖尿病性腎臓病に対する内因性保護的因子としてのオートファジーの役割 北田宗弘・古家大祐
日本糖尿病学会(JDS)と日本循環器学会(JCS)による合同コンセンサスステートメント 荒木栄一
糖尿病性神経障害−早期診断への期待 姫野龍仁・他
糖尿病とNAFLD/NASH 建石良介
糖尿病とがん 納 啓一郎
糖尿病と認知症 鈴木 亮
糖尿病と骨合併症 竹内靖博
妊娠糖尿病のマネジメント 荒田尚子
治療法
糖尿病の予防治療における食事療法と運動療法の統合効果に関する大規模医療データエビデンス 曽根博仁
薬物療法−総論 吉岡成人
これからのインスリン治療 土方麻衣・弘世貴久
心不全治療薬としてのSGLT2阻害薬 今村輝彦
DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬の適正使用のポイントと使い分け 窪田創大・他
イメグリミンの作用機構とポジショニング 植木浩二郎
サルコペニアを合併した糖尿病性腎症の治療 金ア啓造
【トピック】
糖尿病患者の余命 後藤 温
1型糖尿病の移行期医療 黒田暁生・松久宗英
糖尿病診療での動機づけ面接 村田千里
次号の特集予告
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