
遺伝子パネル検査の保険収載などを踏まえ,臨床現場での適応可能性を考慮した「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」の改訂版が2020年3月に発出された.改訂版は保険収載されたがん遺伝子パネル検査に関する解説(総論)と,実地診療でとくに問題となるクリニカルクエスチョン(CQ)からなる二部構成とした.CQではがんゲノムプロファイリング検査をどのような患者に行うべきかについて,検査後に考慮される治療には試験的な薬物療法が想定されることから,検査後の全身状態および臓器機能が薬物療法に耐えられることを予想した患者選択を行うべきであること,がんゲノムプロファイリング検査は行うべき時期について治療ラインで限定せず,その後の治療計画を考慮した最適なタイミングを検討することなどを推奨した.改訂版ががんゲノム医療中核拠点病院をはじめとするがんゲノム医療の実施施設において活用されることを期待しつつ,今後のがんゲノム医療の進展に合わせた継続的な見直しも必要である.

診療ガイダンス,遺伝子パネル検査,固形がん,エビデンスレベル