内容紹介
G蛋白質共役受容体(GPCR)は,800以上の遺伝子からなるゲノム最大のファミリーを形成する.細胞外環境を認識して細胞の機能・運命を制御する,あらゆる細胞機能にかかわるシグナル分子である.本特集では,GPCR研究の最新の方向性とトピックスを紹介し,今後の新展開ついて言及している.
目次
GPCR 研究の現在と未来
G protein-coupled receptors in the new world Mark von Zastrow
The past, present, and future of GPCR research Jürgen Wess
総論:GPCR 研究のあらたな基盤と視点
【構造・機能解析の進歩】
GPCR の構造解析からめざすもの 小林拓也
GPCR の機能構造とその形成 山下敦子
オーファンGPCR のリガンド同定と新規GPCR 活性化検出法 井上飛鳥・青木淳賢
G 蛋白質共役型受容体の過渡的なダイマー形成−1 分子観察法による研究 笠井倫志
薬理学的シャペロン−小胞体蓄積GPCR を形質膜へ発現させる特異的リガンド 安田大恭・中村元直
【バイアスシグナル,アロステリック調節】
バイアスシグナルとカルシウム感知受容体 飯利太朗・槙田紀子
バイアス型シグナル 黒瀬 等
代謝型グルタミン酸受容体のアロステリックモジュレーター−精神疾患治療薬への応用 茶木茂之・舩越竹雄
βアドレナリン受容体の脱感作制御−ニトロシル化のターゲットとしてのGRK2 槙田紀子・飯利太朗
各論:GPCR 機能の新展開
【癌・増殖・発生】
Wnt シグナルにおけるFrizzled 受容体の活性化機構 山本英樹・菊池 章
多価型CXCR4 リガンドの創製と癌細胞イメージング・検出 野村 渉・玉村啓和
Gq 変異とメラノーマ 門野岳史
Gβ変異とがん 依田成玄
【感覚】
嗅覚受容体と鋤鼻受容体 伊原さよ子・東原和成
味覚受容体 實松敬介・二ノ宮裕三
桿体視物質・錐体視物質−桿体視と錐体視の機能的差異をもたらすGPCR 河村 悟・橘木修志
【循環器】
βアドレナリン受容体 黒瀬 等
アンジオテンシンII受容体 赤澤 宏・小室一成
エンドセリン受容体 栗原裕基
プロテイナーゼ活性化型受容体の血管生物学 平野勝也
【内分泌】
バソプレシンV2 受容体−変異による疾患と治療の展望 槙田紀子
TSH 受容体 西原永潤・永山雄二
PTH 受容体とクロストーク 江面陽一・他
グルコース感知受容体によるインスリン分泌の制御 小島 至・中川祐子
【代謝】
グレリン受容体−リガンド非依存性の恒常的活性化とその異常 児島将康・海谷啓之
インクレチン受容体 山田祐一郎
β3 アドレナリン受容体−生理・病態との関連と創薬への展望 戸邉一之・仙田聡子
メラノコルチン4 型受容体(MC4R) 田中 都・菅波孝祥
食事性栄養センサー脂肪酸受容体 木村郁夫・粕渕真由
GPR40 の生理機能とGPR40 アゴニストの薬理作用 伊藤 亮
【免疫・炎症】
ロイコトリエン受容体 市木貴子・他
プロスタノイド受容体を介した免疫・炎症応答亢進の分子機構 告 恭史郎・杉本幸彦
ケモカイン受容体 義江 修
スフィンゴシン1−リン酸受容体 平田多佳子
炎症性疾患とプロトン感知性受容体 岡島史和
【精神・神経・睡眠・摂食】
オレキシン受容体 櫻井 武
オキシトシン受容体−その社会性の障害との関連 ベナー聖子・山末英典
摂食調節ペプチド受容体 河村菜実子・乾 明夫
メラニン凝集ホルモン受容体−最近の基礎研究における話題 斎藤祐見子
情動調節における各種オピオイド受容体の役割 斎藤顕宜・山田光彦
生体リズムを調節するGPCR 土居雅夫・岡村 均
線条体D2 受容体とポジティブ錯覚 山田真希子
次号の特集予告
■サイドメモ目次
脂質キュービック相(LCP)法
螢光ゲル濾過クロマトグラフィ(FSEC)
螢光検出ゲル濾過クロマトグフラフィー(FSEC)
全反射螢光顕微鏡を用いた螢光1 分子観察
フォールディング異常病
受容体に作用するリガンドの分類
条件付け場所嫌悪行動試験と尾退避反応試験
ケモカインレセプター
メラノーマ
がんの遺伝子変異
嗅覚システムで働く受容体の分類
合成香料レパートリーvs. ナチュラルリガンド
褪色中間体
明順応
G 蛋白質共役型受容体キナーゼ(GRK)とβアレスチン
シャーガス病と心房細動
インバースアゴニスト
プロテイナーゼvs. プロテアーゼ
プロテアンアゴニスト(protean agonist)
EP4 受容体と尿濃縮
高Ca 血症に伴う腎性尿崩症の機序
甘味受容体
DPP-4 阻害薬を用いた大規模臨床研究
レプチン抵抗性
LTA4 水解酵素(LTA4H)の役割
アラキドン酸の供給経路
シクロオキシゲナーゼ(COX)
炎症性ケモカイン
恒常性ケモカイン
リゾリン脂質
多発性硬化症(MS)
ヒル係数
哺乳類の概日時計システム
生体リズムの異常と生活習慣病
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