医歯薬出版のページサイトマップ
臨床栄養   TOP最新号臨増・別冊バックナンバー年間定期購読
ホーム雑誌一覧臨床栄養Vol.136 No.6 > 論文詳細
136巻6号 2020年5月25日 p.731-731
 糖尿病エキスパートブック  
序文
森 保道,土井悦子
 
特集にあたって  
 糖尿病療養指導に携わるさまざまな職種のなかで,この十数年間にその役割が大きく変化してきた職種の一つが管理栄養士であると考える.
 2000 年代に入り若年者から中高年者においてメタボリック症候群が注目され,過栄養に起因する内臓脂肪蓄積,代謝異常,血管障害に対する栄養指導が主軸になっていた.その後,わが国が急速に超高齢社会に入り,加齢にともなうサルコペニア,フレイルなど低栄養と関連した健康障害が克服すべき課題としてあがってきている.また世帯構成が変化し,高度経済成長期から核家族化が進み,さらに現在では単身世帯や高齢者のみの小世帯が増加するにつれて,自宅で調理をして家族が食卓を囲むスタイルから,個々人の生活リズムに適したタイミングで食事をする個食化,孤食化が普及しつつある.典型的な患者像・家庭像を想定した栄養指導そのものの前提が変化してきている.
 もう一つの側面は,糖尿病治療の進化である.スルホニルウレア薬や混合型インスリンを中心とした1980 〜 1990 年代の治療から,メトホルミンの復活,DPP4 阻害薬,グリニド薬,SGLT2阻害薬が新薬として次々と登場し,その臨床的有用性も揺るがないものになっている.インスリンも大きく様変わりし,超速効型や持効型アナログインスリンは適切な使用によって生活の自由度を高め,低血糖を減少しつつ従来よりも良好な血糖コントロールに寄与している.さらにGLP-1 受容体作動薬は,血糖改善に加えて体重増加を抑えつつ患者の長期予後を改善する効果が確認されている.
 これら患者や社会構造の変化,そして新しい治療法の登場を受けて,従来からの食事療法,運動療法も大きく変容しようとしている.自身の血糖値変動をSMBG,CGM 等で確認しながら柔軟に食事・運動の内容を変更する高度な自己管理能力をもった患者が増えてきている.その一方で,介護・生活支援を受けながら一定リズムの生活を余儀なくされている高齢者もまた私たちが日々診療する重要な対象である.長期罹病が多い糖尿病では,以前は若い方を対象とした治療や指導を受けてきた患者が自身の高齢化にともない,従来とは異なる治療・指導に変化した際に,そのギャップを十分受け止めきれていない現状がある.新しい『糖尿病診療ガイドライン2019』も患者の多様化に十分に配慮した内容に改められている.
 今回,『臨床栄養』の臨時増刊号として糖尿病特集が組まれた背景は,患者の療養指導の最前線に立つ管理栄養士の方々に最新の情報を提供し,医療の個別化への貢献を期することと理解している.ほかのメディカルスタッフや若手医師の方々にとっても有用な情報が集約されている.ご多用のなか,寄稿いただいた多くのエキスパートの先生方に心から謝意を表したい.
 出版を控えた2020 年4 月,新型コロナウイルス感染症が日本国内にも急速に拡散し,困惑する患者を支援する医療者のご負担も大きくなる一方であり,自己研鑽に費やす機会も限られていることと推察する.コンパクトにまとめられた本書が,そのような医療者の方のかたわらでお役に立てることがあれば,編者として望外の喜びである.
2020年5月
虎の門病院 内分泌代謝科 森 保道・同栄養部 土井悦子
本誌を購入 特集TOPへ戻る
月刊「臨床栄養」のご注文
糖尿病エキスパートブック
136巻6号 2020年5月25日
月刊(B5判,228頁)
定価 3,190円(本体 2,900円+税10%)
注文コード:740960
雑誌コード:09320-05
買い物カゴへ追加
買い物カゴを見る
関連著書
栄養食事療法の実習
トレーニーガイド 栄養食事療法の実習 第12版 栄養ケアマネジメント
本田佳子 編

定価 2,970円(本体 2,700円+税10%)B5判 312頁 2020年3月発行
注文コード:707920
ISBN978-4-263-70792-0

●栄養アセスメント・栄養ケアプラン・栄養ケアに重点をおいた好評テキスト最新版!
詳細
買い物カゴへ追加
買い物カゴを見る
お問い合わせ 会社案内 About us リンクについて オンラインショップの返品について
当サイトはリンクフリーです。ご自由にリンクしてください.
Copyright (C) 2020 Ishiyaku Pub,Inc.