
膵臓がんは依然として難治がんの代表格で,治療法も他のがん種と比較すると限定的である.膵臓がんのゲノム異常は,
KRAS,
CDKN2A,
TP53と
SMAD4遺伝子(いわゆるビッグ4)の異常が太い幹として存在し,これらを切り倒すことは現状では非常に難しい.他の罹患率の高いがん種と比較して,がん種としては遺伝子異常の多様性は少ない.しかし,多数例の網羅的なゲノム解析を行うことで,膵臓がんの数%は
KRAS-wild-typeで,創始となる遺伝子異常が治療標的である場合が存在することが明らかになってきた.さらに,膵臓がんの5〜10%は家族性であり,その10〜20%に
BRCA2などの遺伝子異常がみつかる.現状では,膵臓がんを根治できる治療法は外科手術のみであり,網羅的なゲノム解析などの結果,膵臓がんにおいては改めて早期発見とそれに伴う外科切除,術後補助化学療法の重要性が明らかとなった.

遺伝子パネル検査,家族性膵臓がん,がんゲノムプロファイリング検査