126巻6号 2015年5月25日 p.708-714
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栄養療法のピットフォール−よりよい栄養ケアのために | ![]() |
MUSTとNRS2002は日本人に使えるか――栄養アセスメントツールの普遍性の検証
武庫川女子大学生活環境学部
雨海照祥 武庫川女子大学生活環境学部/同大学大学院 生活環境学研究科博士後期課程 久保知子 武庫川女子大学大学院 生活環境学研究科博士後期課程/富永病院 栄養科 黒川典子 武庫川女子大学大学院 生活環境学研究科修士課程/大道クリニック本院 栄養科 長谷川民子 武庫川女子大学大学院 生活環境学研究科修士課程/東神戸病院 栄養科 甲斐千穗 武庫川女子大学大学院 生活環境学研究科修士課程 北川萌子 ![]() |
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栄養アセスメントの新たな定義 | ![]() |
栄養アセスメントは,“栄養治療を必要とする栄養障害患者の抽出,その対象に対する栄養治療法の根拠の提供,栄養治療法の結果(アウトカム)を変化させうる栄養関連の情報”と定義する.
ここで重要なことが2 つある.それは,狭義の栄養アセスメントに栄養スクリーニングは含まれないこと,および栄養アセスメントは栄養状態をたんに評価するだけの方法ではないこと,の2 つである. ■ 狭義の栄養アセスメントは栄養スクリーニングを含めない 対象の栄養障害の有無を簡便に判別する栄養スクリーニングは,広義の栄養アセスメントには含めてよいものの,狭義の栄養アセスメントには含めない.栄養スクリーニングは,あくまでも最初に医療行為を開始する際に評価する,ある一点における一発勝負であり,精度(後述)の高さは強くは要求はされない.したがって栄養スクリーニングは,あくまでもスクリーニングであり,ある割合(%)の栄養障害なしの対象( 偽陽性率false positive rate:FPR)(または感受性sensitivity)を含むことが 許される.ここでこのFPR は栄養スクリーニングツールの信頼性を決定するがゼロである必要はない.むしろ偽陰性率(false negative rate:FNR)(または特異性specificity)はゼロに近いことが望ましい. 一方,狭義の栄養アセスメントは栄養障害の“重症度”severity が判定,分類できる必要がある.栄養障害の有無だけでは,十分でない.すなわち狭義の栄養アセスメントに栄養スクリーニングは含めない. したがって今後,栄養療法の科学性を担保するためには,厳密には栄養アセスメントに栄養スクリーニングを含めるべきではないであろう.……(雑誌本文は続きます) ![]() |
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126巻6号 2015年5月25日
月刊(B5判,210頁) 発行時参考価格 2,800円 注文コード:740860 雑誌コード:09320-05 |
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