112巻6号 2008年5月20日 p.769-777
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褥瘡ケアUPDATE | ![]() |
褥瘡を有する透析患者へのチームアプローチと栄養士の役割
矢吹病院 臨床栄養室
清野美佳 ![]() |
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はじめに | ![]() |
●当院の紹介
当院は山形県山形市に位置し,病床数は55床(急性期病棟29床,療養病棟26床)で,入院患者の95%は慢性腎臓病(CKD)が占めている.透析期のCKD 治療を中心に診療しており,外来透析患者は血液透析患者が335名(本院192名+クリニック143名),腹膜透析患者は23名で,日本腎臓学会研修施設および日本透析医学会認定施設となっている. ● CKD と褥瘡 透析患者の約40%にたんぱく・エネルギー栄養障害がみられ,そのうち6〜8%は高度の栄養障害が認められると報告されている.近年透析導入患者の高齢化とともに,その原因疾患は1998年から糖尿病性腎症が第1位となり,2006年では42.9%を占めるに至った.さらに透析患者においてはmalnutrition(栄養障害),inflammation(炎症), atherosclerosis(動脈硬化)の三者が相互に作用し合い,一つの増悪環境因子を形成しうるという概念(MIA 症候群)が注目されている.このような背景で透析患者は栄養障害を生じやすく,さらに身体機能の低下した患者では褥瘡を発生しやすい.当院では透析患者の栄養障害をいかに食い止めるかをテーマに据えてNST を立ち上げ,多職種で専門的アプローチを行っている. 本稿では,褥瘡を有する透析患者へのNST 活動の実際と栄養士の役割について述べる.……(雑誌本文は続きます) ![]() |