内容紹介
2010年の改正臓器移植法の施行により,脳死移植数が増加するのではないかと予測されているが,現実には臓器提供の不足など課題も多い.本特集では,臓器移植の新時代を迎えた現時点での状況を紹介するとともに,今後解決すべきどのような課題を抱えているかという点についてもふれた.
目次
新しい社会基盤の整備に向けて
改正臓器移植法の問題点と今後の展開……水野紀子
臓器移植の社会的基盤構築……篠崎尚史・浅水健志
イスタンブール宣言後のWHO・国際移植学会の取組み……高原史郎・他
改正臓器移植法の施行に伴う社会システムの改善……瓜生原葉子
ドナーアクションプログラム−良質で確実な臓器提供をめざした院内体制の構築……長谷川友紀・他
臓器提供の啓蒙,教育−海外・国内での取組み……猪股裕紀洋・阿曽沼克弘
わが国における脳死移植の現状と今後
心臓移植……中谷武嗣・藤田知之
わが国の脳死肺移植の現状……伊達洋至
わが国における脳死肝移植の現状……伊藤孝司・他
わが国における腎移植の現状と今後の課題−12,000 人の献腎移植希望者を救うためにわれわれが進む方向……佐々木ひと美・星長清隆
膵移植の現況と今後……伊藤壽記
脳死小腸移植の現状と将来……仁尾正記・和田 基
脳死臓器提供に関する課題
脳死下臓器提供のあっせん(コーディネーション)における問題と今後の課題……朝居朋子・小中節子
都道府県コーディネーターの役割と課題−地域に根ざした活動……岩田誠司
レシピエント移植コーディネーターの役割−臓器移植の新時代……添田英津子
臓器提供における看取りの医療の重要性……鹿野 恒
脳死下におけるドナー管理……谷口雅彦・他
臓器提供病院への支援のあり方をどのようにするか……久志本成樹
改正臓器移植法後の臓器提供に対する医療機関の責任−臓器提供を適正かつ安全に行うためのシステム構築……小野 元
メディカルコンサルタントの現状と改正法施行後の課題……福嶌教偉
生体ドナー移植の新しい展開
生体ドナーの保護と補償のあり方……加藤俊一
生体ドナー候補者の意思決定をいかに支援し,確認するか……西村勝治
生体肝移植における肝静脈再建の新しい視点……田中紘一・山田貴子
生体肺移植の技術進歩……大藤剛宏
生体腎移植の技術進歩……吉村了勇
臓器移植の感染症克服
腎移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症の診断と治療−日本臨床腎移植学会“腎移植後サイトメガロ感染症ガイドライン”……相川 厚
臓器移植における真菌症治療戦略……高槻光寿
臓器移植における病院内感染症対策……長尾美紀・一山 智
肝炎ウイルスに対する抗再活性治療−移植後肝炎再発……菅原寧彦
研究の新しい展開
医療の課題とその解決を目的としたシステム開発……山田貴子
免疫抑制剤の新しい動向……尾本和也・田邉一成
抗HLA抗体の治療戦略……中川 健
慢性拒絶反応の成因と対策……大段秀樹
異種臓器移植の臨床応用をめざして−前臨床異種移植はここまで進んでいる……山田和彦・佐原寿史
移植医療と再生医療の融合……松山晃文
再生医学の融合による移植医療の新しい展開……小林英司
免疫寛容誘導−現状とこれから……奥村 康・場集田 寿
臓器保存の現状と今後−新しい保存法開発のための基礎知識……深井 原・嶋村 剛
ハイブリッド型人工肝臓の現状とこれから……水本 博・梶原稔尚
巻末資料
WHO GUIDING PRINCIPLES ON HUMAN CELL, TISSUE AND ORGAN TRANSPLANTATION
臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言
■サイドメモ目次
WHOヒト細胞・組織・臓器に関する指針
院内コーディネーター
シンガポールにおけるソーシャルワーカー
臓器提供意思表示カード
拒絶反応
生体肺移植
Intestinal Rehabilitation Program
2 種類の移植コーディネーター
オプション提示(家族への選択肢提示)
生体肺移植
ABO血液型不適合移植
日和見感染症
核酸アナログにおける交差耐性
PCAPS(患者状態適応型パス)
あらたなIT技術
3−シグナルモデル
臓器保存の明日を担う基礎研究とは
三次元培養法(細胞組織体培養法)
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