
J-DOIT3は,血糖値・血圧・脂質を生理的に近いレベルにまで統合的に改善する治療による,大血管症の抑制効果を評価することを目的とした大規模臨床研究である.厚生労働省による戦略研究の一環としてはじまり,全国81施設で2型糖尿病に高血圧症または脂質異常症を合併したハイリスク症例2,542例が登録され,ガイドライン通りの従来治療群と強化療法群にランダムに割り付けられた.強化療法群ではHbA1c 6.2%未満など,より厳しい目標を掲げ,3〜6カ月ごとに薬物治療を段階的に強化するプロトコールとなっている.加えてセルフモニタリングや教育を中心とした積極的な生活習慣介入も行われており,低血糖や体重増加の抑制に寄与することが考えられる.追跡期間は2016年までの予定であるが,これまでのところ順調に推移しており,今後の糖尿病診療のあり方を左右する重要な試験となることが期待される.

大規模臨床試験,J-DOIT3,大血管障害,低血糖,体重管理