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135巻4号 2019年9月25日 p.395-395
 高齢者の栄養管理 パーフェクトガイド  
序文
葛谷雅文
 
特集にあたって  
 高齢者は成人と異なる種々の身体精神的特徴,疾病・生活背景がある.たとえば,身体組成の加齢変化により骨格筋量が減少し,種々の臓器機能の予備能低下,また視覚・聴覚の機能低下と同様に食欲と密接にかかわる味覚・嗅覚の低下もある.これらの加齢変化は,結果として体重の減少に移行しやすい.その他,高齢者は成人に比較し,圧倒的に多数の低栄養に陥るリスクが存在する.
 高齢者人口が多くない時代には,栄養に関しては年齢を考慮せず,画一的な評価,指導がなされてきた.超高齢社会に突入したわが国では高齢者人口は大きく増え,とくに医療においては疾患を多く抱える高齢者を無視できなくなって来た.メタボリックシンドローム一辺倒な栄養に対する考え方の変換期である.この一辺倒な栄養の捉え方,考え方は,「高齢者は粗食のほうが長生きする」,「高齢者は肉はとらないほうがよい」などの根拠のない迷信が浸透し,高齢者自体,さらには医療関係者もそれに追随した.それがもとで,栄養状態が悪化し健康障害を引き起こした高齢者も珍しくなかった.
 高齢者の生活習慣病罹患率は高い.これらの栄養・食事管理を成人と同様に行うことは多くの問題がある.40 歳の指導と身体機能,生理機能の低下や余命が圧倒的に短い80歳の指導が同じでよいわけがない.もう一つは多病(multimorbidity)の問題である.すなわち,加齢とともに慢性疾患は集積し,結果,高齢者は複数の疾患を同時に抱えることになる.生活習慣病に関しても一つではなく,複数同時に抱えている場合がほとんどである.
 日本からの報告でも75 歳以上の約8 割が2疾患以上,約6 割が3以上の慢性疾患を併存していることが報告されている.これらの複数の慢性疾患を抱える高齢者の適正な栄養・食事療法を含め,医療介入法は確立されていないのが現状である.
 成人を対象とした単一疾患ベースのさまざまな疾病診療ガイドラインが存在するが,それらを単に統合するだけでは,同時にそれらの疾患複数を抱えている高齢者には対応が困難である.上記のように高齢者は,疾病だけでなくさまざまな老年症候群,身体精神心理機能低下,各臓器の予備能の低下を同時に抱え,さらには高齢者独自の医療に対する望み,QOL,生活背景が存在し,そして余命も成人とは明らかに異なる.また,高齢者は健常(自立)状態ばかりではなく,フレイル,さらには要介護状態とさまざまな身体機能状態にある対象者が存在し,それぞれの栄養状態の目標ならびに管理方針が異なることが想定できる.したがって,このような高齢者に対する食事や栄養療法の在り方は,疾病だけをベースに考えることはできず,上記のさまざまな背景を複合的に考える必要がある.
 今回,さまざまな疾病背景,生活背景,身体機能背景をもつ高齢者に対しての栄養管理を特集していただいた.なお,十分なエビデンスの蓄積がない分野ではあるが,今後さらに発展し高齢者に対しての適切な栄養管理が進展することを期待したい.
令和元年9月
名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学 葛谷雅文
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高齢者の栄養管理パーフェクトガイド
135巻4号 2019年9月25日
月刊(B5判,196頁)
定価 3,190円(本体 2,900円+税10%)
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