がんの緩和治療において放射線治療は大きな役割を担っている.その目的は,患者のもつ症状に対して, @迅速な効果を期待する場合, A 長期的な効果を期待する場合, B 症状出現の予防,に分けられる.多くの場合,迅速な効果を期待して短期に照射を完了することが必要であるが,一方で長期的な効果を期待する場合や症状出現の予防を必要とする場合があり,緩和治療の多様性を理解する必要がある.治療を円滑に進め適切な結果を得るには,診療科間の密接な連携と多職種によるチーム医療の体制を整えることが重要である.近年の高精度放射線治療の進歩により,脊椎転移の再照射にみられるように従来は困難であった治療も可能となっている.