
進行頭頸部癌では通常線量分割(CF;1 回 2 Gy,週 5 回)と多分割照射法(HF;1 回 1.2 Gy 程度で 1 日 2回照射することで総線量を増加),加速照射法(AF;1 回線量 1.5〜2.0 Gy とし 1 日 2〜3 分割,総線量は通常分割より低い)との比較試験がいくつか行われた.15 試験によるメタアナリシスでは,局所制御は CF と比べて HF,AF がよいことが示されている.現時点での非手術療法の標準である化学放射線療法に altered fractionationが使用できるかはいまだ不明である.声門癌では治療期間短縮により局所制御率が向上するという複数の遡及的臨床研究がある.JCOG 放射線治療グループでは“T1−2N0M0 声門癌に対する放射線治療の加速照射法と標準分割照射法のランダム化比較試験”(JCOG0701)を計画し,現在症例登録中である.この試験で加速照射の科学的妥当性を示すことにより, @ 治療期間が短くてすむ, A 医療費が節減できる, B 施設,医療スタッフへの負担が軽減でき医療資源を有効に利用できる,という標準治療を確立することが期待できる.