●作業療法をもっと役立たせるためにはどうしたらよいのか?
内容紹介
●脳梗塞右片麻痺で失語症の方が入院中に絵を描き始め,3年後には個展を開くまでになったり,第5頸髄損傷の重度の障害をもちながらも,介護支援事業所を起業し職員30名を雇用しながら社会貢献をされていたり.障害をもっていても,いきいきとした生活を送っている事例は数多い.
●しかし,一方では「寝たきり」「ひきこもり」「廃用症候群」など,障害を引き金に活動や社会参加が著しく制限された生活を送る方々も多い.「なぜなのだろう? なんとかしなくては」とは誰もが考えること.作業療法をもっと役立たせるためにはどうしたらよいのか? 誰もができる,もっと役に立つ作業療法はないのか?
●厚生労働省老人保健健康推進事業は,まさに上記の疑問に対する答えを得るべく取り組んだ事業である.そこでは,作業療法の効果として「やる気を引き出す」「楽しみを引き出し,継続させる」「役割を再確認させ,発展させる」「本人を含む家族,地域社会の環境によい効果を与える」などが確認できた.本書は,これらの研究内容をまとめたものである.
●“作業”の捉え方を示したうえで,「生活状況確認表」「作業聞き取りシート」「興味・関心チェックリスト」「作業遂行アセスメント表」「作業遂行向上プラン表」「作業をすることで元気になる申し送り表」などの活用方法を豊富な事例とともに解説した.
目次
2.すべての人によい作業を(吉川ひろみ)
3.生活行為向上マネジメントとは(村井千賀)
4.マネジメントツールの使い方(竹内さをり)
5.生活行為向上マネジメントツール活用のコツ(東 祐二)
6.事例編
7.客観的な裏づけ(能登真一)
著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.
岩瀬義昭【いわせよしあき】
1975年 日本福祉大学社会福祉学科卒業
1983年 国立療養所東名古屋病院附属リハビリテーション学院作業療法学科卒業
1983年 南生協病院勤務
1986年 国立療養所東名古屋病院附属リハビリテーション学院厚生教官
1996年 鹿児島大学医療技術短期大学部作業療法学科講師・助教授
2003年 鹿児島大学医学部保健学科教授
大庭潤平【おおばじゅんぺい】
1996年 熊本リハビリテーション学院作業療法学科卒業
同 年 兵庫県立総合リハビリテーションセンター勤務
2004年 神戸大学大学院医学系研究科博士課程前期修了
2005年 国際医療福祉大学リハビリテーション学部助手
2006年 国際医療福祉大学福岡リハビリテーション学部助教
2008年 神戸学院大学総合リハビリテーション学部作業療法学専攻講師
村井千賀【むらいちが】
1982年 金沢大学医療技術短期大学部作業療法学科卒業
同 年 リハビリテーション加賀八幡温泉病院勤務
1986年 石川県松任,七尾,小松保健所勤務
1999年 石川県リハビリテーションセンターへ異動
2006年 石川県健康福祉部健康推進課へ異動
2007年 石川県立高松病院へ異動.認知症医療疾患センター,地域連携室兼務
吉川ひろみ【よしかわひろみ】
1982年 国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院作業療法学科卒業
病院,医療技術短期大学勤務を経て
1993年 ウェスタンミシガン大学作業療法学科修士課程修了
1995年 広島県立保健福祉短期大学作業療法学科助教授
2005年 県立広島大学保健福祉学部作業療法学科教授
翻訳書『作業療法の視点』(大学教育出版,2000),著書『「作業」って何だろう作業科学入門』(医歯薬出版,2008)など.