122巻6号 2013年5月25日 p.745-750
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脂質異常症UPDATE2013 | ![]() |
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012
帝京大学臨床研修センター
寺本民生 ![]() |
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はじめに | ![]() |
動脈硬化性疾患とは,主として心血管疾患と脳血管疾患をさしているが,最近は末梢動脈硬化性疾患を含めたmultiple vessel d isease として認識されている.その原因は多岐にわたり,それゆえに危険因子とよばれ,危険因子の数が動脈硬化性疾患発症の決定因子となっている.わが国の動脈硬化性疾患でもっとも高頻度にみられる(た)のが,脳血管疾患である.1960 年代をピークに脳血管疾患による死亡率は減少し,最近はほぼ心血管疾患と肩を並べるところまで減少した.これは1960 年代に盛んに行われた食塩摂取制限という食習慣の食事指導により,高血圧の頻度が減少し,それゆえに脳出血が劇的に減少したことによる.食事指導が成功した顕著な例である.心疾患については,戦後徐々に増加し,脳梗塞も2000年以降,決して減少はしていない.このような動脈硬化性疾患の危険因子として,高血圧に代わって問題になったのがLDLコレステロール(LDLC)や肥満・糖尿病の問題である.米国ではすでに1960 年代に心筋梗塞予防のための,禁煙指導,コレステロール低下食(コレステロール制限とともに飽和脂肪酸制限),食塩制限などの徹底した生活指導がなされた.その結果,心筋梗塞死は50%の減少,脳血管疾患は60%の減少を観察している.このように,生活習慣の改善による疾病コントロールができるという発想はきわめて重要である.そのためには,その裏づけとなる科学的根拠が重要である.このような科学的根拠を基にガイドラインは整備されるべきである.
さて,2012 年には5 年ぶりに動脈硬化性疾患予防ガイドラインの改訂が行われた.本稿では,この改訂の根拠と,それに基づく実地診療について,まとめておきたい.……(雑誌本文は続きます) ![]() |
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122巻6号 2013年5月25日
月刊(B5判,228頁) 発行時参考価格 2,700円 注文コード:740820 雑誌コード:09320-05 |
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