112巻6号 2008年5月20日 p.759-763
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褥瘡ケアUPDATE | ![]() |
アルギニンと亜鉛補給により脊髄損傷患者の仙骨部褥瘡が著明に改善した1症例
福島労災病院 整形外科・褥瘡対策委員会
古田島 聡 同NST管理栄養士 田村佳奈美 同看護師・褥瘡対策委員会 古川優子,大村すみゑ ![]() |
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はじめに | ![]() |
褥瘡は脊髄損傷患者にとってもっとも発生頻度の高い合併症である.脊髄損傷患者は急性期を過ぎれば余命が長く,数十年以上経過した結果,麻痺域の皮膚の脆弱,骨・筋肉の廃用性萎縮,骨の加齢性変形や関節の拘縮が進行し,褥瘡の発生リスクが高まる.このような患者に一度褥瘡が発生すると,難治性で,褥瘡治療のためだけに入退院を繰り返すことも少なくない.
また入院期間も長引くことが多い.それは褥瘡による機能訓練の遅れや麻痺のために自力で十分な体位変換ができないことなどが要因である.さらに,褥瘡の処置には時間と人数を費やすことで看護効率を著しく低下させるうえ,長期入院となるため,医療経済を悪化させる原因にもなりうる.よって脊髄損傷患者の褥瘡は,われわれ医師・コメディカルのみならず,大きな社会的問題を抱えているといっても過言ではない.患者の褥瘡を短期間で効率よく治療することは,大きなテーマであり,結果として社会的に大きな利益を生むことにもつながると考えられる.……(雑誌本文は続きます) ![]() |