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273巻5号 2020年5月2日
第1土曜特集治療標的としてのがん幹細胞5月第1土曜特集
はじめに
第1土曜特集 治療標的としてのがん幹細胞 はじめに 伊藤貴浩
  Dickらにより実験的にがん幹細胞の存在が証明されてから四半世紀が経過した.この間,多くの技術的進歩に伴ってがん幹細胞の性質やその作動原理が解明された.当初の骨髄性白血病での証明に続いて乳がんや脳腫瘍など,他のがん種にも幹細胞が存在することが示され,さらには遠隔転移や治療抵抗性における機能的重要性も明らかになった.一方がん幹細胞という概念に基づく治療戦略の開発については,なかなか大きな進展が見えてこない.著者の個人的見解だが,いくつかの課題がある.ひとつには,がん研究者や臨床医のなかでも“がん幹細胞”の存在そのもの,あるいはがん幹細胞を定義することの意義に懐疑的な意見が根強くあることである.がん種によっては,腫瘍組織中の幹細胞と非幹細胞を区別するのが難しかったり,幹細胞と非幹細胞の状態を行き来する可塑性の高い腫瘍が存在することもその一因かもしれない.ふたつには,がん幹細胞の生物学に予想以上に複雑多様な機構が関与することである.たとえば,腫瘍組織内にがん細胞に加えて免疫細胞などの宿主由来細胞が存在することや,がん幹細胞に生じる新たな遺伝変異やエピゲノム変化がクローン進化を誘導すること,代謝・栄養・酸素供給の制御によって腫瘍組織内の微小環境が構築されていること,などがある.すなわち,“幹細胞と非幹細胞”という単純な階層性にとどまらない多様性(tumor heterogeneity)が腫瘍の形成と維持に重要であることを,分子あるいは細胞レベルでわれわれが議論できるようになったことの裏返しともいえる.
 本特集では,これまでのがん幹細胞研究を振り返ってその進歩を総括するとともに,次の四半世紀のがん研究の方向性を議論する基礎となるよう,多様な研究背景を持つ先生方に執筆をお願いした.Tumor heterogeneityに対抗し,これを乗り越える治療戦略の開発には,われわれ研究者側にもいろいろな意味でresearch diversity,そしてdiversity in researchが必要ではないだろうか.われわれの取り組みが,がん生物学の新たな一歩となることを期待する.
目 次
がん幹細胞維持機構:総論
がん幹細胞と薬剤耐性……馬島哲夫・清宮啓之
がん幹細胞とそのニッチ……後藤典子
がん幹細胞のエピゲノム制御……合山進
がん幹細胞と転写後制御……井上大地
がん幹細胞を支える多様なシグナル/メカニズム
Spred1による造血幹細胞制御と白血病化……田所優子・平尾敦
乳がんと正常乳腺における転写因子NF−κB による幹細胞維持機構の相違……山本瑞生・井上純一郎
FOXOによるがん幹細胞の制御……仲一仁
造血器腫瘍におけるHIF1A/ARNTシグナル経路とがん幹細胞制御……林嘉宏・原田浩徳
RB1によるがん幹細胞の制御……橋智聡・河野晋
がん組織における分岐鎖アミノ酸代謝制御……服部鮎奈
マイクロRNAによるがん幹細胞の制御……今野雅允・石井秀始
細胞内鉄代謝とがん幹細胞の制御……宮沢正樹
タンパク質翻訳後修飾とがん幹細胞制御――ヒストンアシル化による遺伝子発現制御……松浦顕教
がん幹細胞の理解に向けた新技術開発とその応用
ヒストンアセチル化酵素とがん幹細胞制御……横山明彦
CRISPRスクリーニングによる幹細胞制御因子の網羅的探索……遊佐宏介
iPS細胞から再生したT細胞を用いたがん免疫療法の開発――WT1抗原を発現する固形がんを標的にして……嘉島相輝・他
多発性骨髄腫の根治をめざしたCAR T細胞の開発……保仙直毅
患者由来がん幹細胞の三次元培養と臨床応用への展望……大畑広和・他
メタボロミクスによるがん幹細胞の代謝研究……北島正二朗・曽我朋義
合成ポリマーを用いたがん幹細胞ニッチの解析……椨康一・田賀哲也
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治療標的としてのがん幹細胞
273巻5号 2020年5月2日
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