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272巻6号 2020年2月8日
ALS(筋萎縮性側索硬化症)治療の最前線
はじめに
AYUMI ALS(筋萎縮性側索硬化症)治療の最前線 はじめに 井上治久
  1869年,フランスの神経学者シャルコー(Jean-Martin Charcot)により,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)ははじめて報告された.その後,現在に至るまで依然として根本的治療法がなく,医学の敗北の象徴として,その治療法を見出すことは医学の最上の命題のひとつともいわれている.一方で,運動神経細胞の変性に基づき,進行性の筋力低下・筋萎縮によって,全身の運動機能を消失するこの難攻不落の難病を取り巻く,ここ数年の治療を見据えた最前線,技術革新・革命は目を見張るものがある.現在,ALSの克服に向けた,歴史的転換点であることを予感させるいくつもの光が見えはじめている.
 ALSの治療法の開発を阻害してきた要因のひとつは,その臨床病態,遺伝学的背景の多様性にある.治療薬の有効性の科学的解析を可能にするためには,ALSの層別化,バイオマーカーの開発が必要とされてきた.また,ALSでは運動神経細胞が変性・消失する前に,いかに早期に診断ができるか,ということも課題であった.そこで,本特集では大規模なコホートを用いたビッグデータ解析からの新知見,新たな早期診断法開発について解説いただいている.
 遺伝学的研究の進展に伴い,これまで多くのALS原因遺伝子が発見されてきた.原因遺伝子の同定後も原因分子病態に基づいた治療法,disease-modifying therapyが,これまでの低分子化合物のみではなく,アンチセンス核酸など新たなモダリティをベースに開発されつつある.ただし,ALSにおける進行性の病態をmodifyingできた場合にも,いかに回復するかも課題となる.その課題に対するとともに,さらにはそれのみでも神経機能ネットワークの再配分による治療が可能かについては,わが国のロボット技術の粋を集めたアプローチが進行している.遺伝子を標的とする治療モダリティの最新トピックス・戦略,そして,ロボットスーツ技術の進展についても述べていただいている.
 ALS治療の発展には,よりヒトに近い新たなALSモデルからの絶え間ないトランスレーショナルリサーチが必要である.スタンダードモデルとしてのALSマウスの過去・現在・未来,機動的な遺伝学ツールとしてのショウジョウバエALSモデル,そして最後に,iPS細胞技術から臨床試験まで,これらの最新情報について触れている.
 本特集では,ALS治療の最前線について,幅広くカバーするように企画した.玉稿を通じて見えはじめている“光”と,その先を確信していただければ幸いである.最後に,本企画をいただいた本誌編集部に感謝申し上げたい.
目 次
多施設共同ALS患者レジストリとバイオマーカー開発……中村亮一・他
ALS治療の新たなモダリティとしての核酸医薬……三浦元輝・他
ALSの早期診断法開発と臨床試験……和泉唯信・他
サイボーグ型ロボットHALによる運動ニューロン疾患治療の進展……池田哲彦・中島孝
ALSモデルマウスの新展開……笹栗弘貴
ショウジョウバエモデルを用いたALSの病態解明と治療法開発……田港朝也・永井義隆
iPS細胞技術によるALS研究……川澄侑哉・他
TOPICS
【医療行政】
認知症施策推進大綱と認知症対策官民イノベーション実証基盤整備事業……武田雅俊 
【神経内科学】
神経系のアミロイドーシスの最新の知見……安東由喜雄 
【消化器内科学】
フュージョンイメージングを用いた肝癌の治療……土谷薫 
連載
【地域医療の将来展望】
16.特定行為研修修了看護師がこれからの地域医療にもたらすもの……春山早苗 
【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】
11.診療ガイドラインとは何か――EBM,診療ガイドラインの歴史と定義,未来展望……中山健夫 
フォーラム
たかが体温計,されど体温計:進化する手術中の体温モニタリング……立花俊祐・山蔭道明
【パリから見えるこの世界】
88.ヴォルテールとルソー,あるいは21世紀を考えるための二つの極……矢倉英隆 
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ALS(筋萎縮性側索硬化症)治療の最前線
272巻6号 2020年2月8日
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