
多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)は自己免疫疾患のひとつであり,多彩な自己抗体が検出される.それぞれの患者が保有する自己抗体により臨床的特徴や予後が異なるため,自己抗体の測定は診断のみならず,治療反応や予後予測に重要である.筋炎患者ではほかの膠原病患者同様に,間接螢光抗体法による抗核抗体測定がスクリーニングに役立つが,抗核抗体検査で陰性となっても,筋炎特異的自己抗体を保有していることも少なくない.抗ARS抗体陽性筋炎患者は抗ARS抗体症候群とよばれる均質な臨床的特徴を有すると言われている.抗MDA5抗体は筋症状を欠くDM(CADM)に高頻度に認められ,一部急速進行性・治療抵抗性の間質性肺炎を合併するため,抗MDA-5抗体陽性患者においてはこのような病変の適切な評価・治療介入が求められる.抗TIF1-γ抗体陽性患者は悪性腫瘍合併DMと関連が深いため,腫瘍の検索が欠かせない.抗Mi-2抗体は治療反応のよいDM,抗SRP抗体は治療抵抗性の壊死性ミオパチーで高頻度にみられる.最近,抗MDA-5抗体,抗TIF1-γ抗体,抗Mi-2抗体が保険収載され,日常的に測定ができるようになり,筋炎の自己抗体測定はますます重要な役割を担うと考えられる.

多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM),自己抗体,抗ARS抗体,抗MDA-5抗体,抗TIF1-γ抗体