
ビタミンDは,骨・ミネラル代謝の維持に必須のホルモンである.その作用低下は,くる病・骨軟化症,低カルシウム(Ca)血症,続発性副甲状腺機能亢進症,骨粗鬆症の原因となり,転倒・骨折のリスクである.ビタミンD作用低下のもっとも頻度の高い原因は,体内のビタミンD貯蔵量が減少したビタミンD不足・欠乏である.血中に存在する種々のビタミンD代謝物のうち,ビタミンD貯蔵を反映するのは血清25(OH)D濃度である.わが国の『ビタミンD不足・欠乏の判定指針』では,血清25(OH)D値30ng/mL以上をビタミンD充足,20〜30ng/mLをビタミンD不足,20ng/mL未満をビタミンD欠乏としている.血清25(OH)D値が低ければ,骨折リスクなどが高くなるだけでなく,骨粗鬆症治療薬に対する反応性低下をもたらす.したがって,骨粗鬆症,くる病・骨軟化症にとどまらず,原発性副甲状腺機能亢進症,CKD-MBDなど多くの骨・ミネラル代謝異常を伴う病態において,血清25(OH)D値評価の必要性が,国際的なガイドラインで示されている.

ビタミンD,25(OH)D,PTH,くる病・骨軟化症,骨粗鬆症