
慢性肝疾患の終末像は原因にかかわらず肝硬変であり,その変化の主体である肝線維化の診断は重要である.従来からgold standardは肝生検下の組織診断であるが,検査自体のリスクが高いこと,病理診断医の判断にばらつきがあること,さらに少量の肝組織所見にて肝全体を判断してよいのかについても問題が解消されず,ほかの診断法が模索されてきた.超音波の技術を利用した肝硬度測定は組織診断と良好な相関があり,有力な診断法であるが,どこでも簡単に利用できるわけではないとの欠点があり,現状でも血液マーカーの利用が期待される.従来から血中肝線維化マーカーとして利用されているヒアルロン酸,IV型コラーゲン(7S),III型プロコラーゲン-N-ペプチドについては,線維化の程度との相関が十分とは言えず,とくにほかの疾患でも血中レベルが変化してしまうため,疾患特異性の点で問題が多い.一方,あらたに確立された血液マーカーとして,肝線維化に伴って変化する蛋白質の糖鎖修飾に注目して網羅的検討から抽出されたM2BPGi,肝線維化進展に伴う内皮細胞変化に関連して血中レベルが変化するオートタキシンについては,組織診断との相関もより強く,今後の利用拡大が期待されている.

ヒアルロン酸,IV型コラーゲン,III型プロコラーゲンNペプチド,M2BPGi,オートタキシン