122巻6号 2013年5月25日 p.839-843
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脂質異常症UPDATE2013 | ![]() |
大豆・大豆製品
日本女子大学 家政学部
丸山千寿子 ![]() |
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はじめに | ![]() |
日本人は大豆および大豆の加工食品を,植物性の重要なたんぱく質供給源として古くから摂取してきた.これまでに,食品としての大豆および大豆製品の習慣的な摂取により,女性で冠動脈疾患や脳梗塞の発症抑制が期待できることが大規模疫学調査から明らかにされている.
脂質異常症の食事療法においては,大豆・大豆製品はきわめて重要な役割を担っており,動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012 年版でもその利用をすすめている.高LDL コレステロール血症と高トリグリセライド血症の食事療法では,共通に改善すべき事項として,肥満があればエネルギー摂取量を制限して減量し内臓脂肪を減少させる必要がある.たんぱく質供給源としての大豆および大豆製品は,肉類や乳類と比べて脂質含有量が少なく,常用量あたりのエネルギー供給量が低いため,エネルギー制限下で用いやすい. これに加えて高LDL コレステロール血症に対する食事療法では,血中LDL コレステロールの低下をはかるために,飽和脂肪酸を制限してその代わりに多価不飽和脂肪酸を確保してLDL の逆転送障害を改善する.また,外因性コレステロールの摂取を制限し吸収抑制と排泄促進をはかることが食事療法の目標となる.大豆・大豆製品は多価不飽和脂肪酸を多く含むこと,植物性であるためコレステロールを含まず小腸での吸収時にコレステロールと競合作用を有するシトステロールを含むこと,食物繊維の供給源となることから,わが国では長い間大豆・大豆製品を高コレステロール血症の食事療法に用いてきた.さらに近年はこれらの作用に加えて,大豆たんぱく質と大豆イソフラボンに確実な血中コレステロール低下作用があることが明らかにされている.したがって大豆・大豆製品は脂質異常症のなかでも,高LDLコレステロール血症の治療に積極的に利用したい食品といえよう.……(雑誌本文は続きます) ![]() |
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122巻6号 2013年5月25日
月刊(B5判,228頁) 発行時参考価格 2,700円 注文コード:740820 雑誌コード:09320-05 |
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