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273巻2号 2020年4月11日
糖尿病とスティグマ−Cure,CareからSalvation(救済)へ
はじめに――日本の糖尿病医療がスティグマにどう関わっているか
AYUMI 糖尿病とスティグマ――Cure,CareからSalvation(救済)へ はじめに――日本の糖尿病医療がスティグマにどう関わっているか 清野裕
 糖尿病のスティグマとは
 近年の糖尿病医療の飛躍的な進歩に伴い,糖尿病の治療目標は,“いかに血糖値を下げるか”から“糖尿病合併症をいかに抑制するか”へと変遷してきた.そして現在,糖尿病患者の平均余命は糖尿病ではない人と比較しても大差がない1).このことは糖尿病医療の偉大な功績と考えてよいが,今後の課題としては,糖尿病患者に真の幸福を届けることであろう.そのためには,糖尿病患者が糖尿病とともに歩む人生のなかでごく普通の生活を送り,幸せな人生を全うできることにある.しかし現在でもさまざまな障壁があり,そのひとつに“スティグマ”があげられる.
 “スティグマ(stigma)”とは一般に“恥・不信用のしるし,不名誉な烙印”を意味し,ある特定の属性に所属する人に対して否定的な価値を付与することである.スティグマを受けた者は社会的アイデンティティを不当に侵害され,社会的にも個人的にも不利益を被ることになる2).糖尿病患者は,世間では糖尿病を発症したことや治療が成功しないのは本人の自己責任能力の欠如によるなどと誤った判断が下されることがあり,さらに糖尿病があると寿命が10 年短くなる,さまざまな合併症を引き起こすなど,ことさら疾患のマイナスイメージを煽る情報があふれている.糖尿病のスティグマにより,糖尿病患者は就職,就労範囲,結婚,生命保険や住宅ローンの審査など,社会生活をおくるうえで明らかに不利益を覆っている.糖尿病という診断がまさに烙印となり,その瞬間に一般社会から隔絶され,場合によっては友人や家族からも本人の人格にまで言及されるような事態になり,患者は大きな恥辱や疎外感を感じることになる(図1).
 さらに,もし糖尿病のスティグマ形成に,医療従事者,とくに糖尿病治療や療養指導に携わる医療者が深く関わっていることがあれば,看過できぬ事態である.糖尿病治療の目標が達成されないことを患者の自己管理の低下のせいにすることや,エビデンスの低い治療や療養指導,患者本人が実行不可能な生活習慣の是正を求めること,逆に患者の自己管理能力を低く見積もって治療計画を立てることも,医療従事者の糖尿病患者へのスティグマに起因すると考えられる.医療従事者がこのような態度を示す場合,患者は治療を継続することを拒否して治療中断するか,多くのストレスを抱えながら治療継続を強いられる,治療計画へのアドヒアランスが低下する,医療従事者とのコミュニケーションが不足することになり,適切な治療関係とは程遠い状態に陥ることになる.

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目 次
保健医療におけるスティグマ――人々の内面の動きとアドボケイトとしてのあり方……黒江ゆり子
語源,歴史,現状……内潟安子
患者として医師としての体験から……南昌江
スティグマは2型糖尿病患者の自己管理行動にどう影響しているか……加藤明日香
精神神経科の立場から――名付けることの意味……松島淳・門司晃
糖尿病療養支援とスティグマ……和田幹子
糖尿病とアドボカシー――海外の動向……野見山崇
スティグマとアドボカシーを考慮した糖尿病療養指導……田中永昭
TOPICS
【輸血学】
自己血輸血の過去・現在,そして未来……牧野茂義 
【臨床検査医学】
遺伝子関連検査の精度保証:求められる国際水準への対応と展開……宮地勇人 
【脳神経外科学】
くも膜下出血の神経原性肺水腫における脳-肺連関と最新の全身管理……武藤達士・江口薫 
連載
【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】
17.推奨作成の基本と課題:エビデンスから推奨への基本ステップと最近の課題……後藤温 
【老化研究の進歩】
6.正常組織は老化とともに遺伝子変異が蓄積する……横山顕礼・他 
フォーラム
小耳症に対する耳介再建の最前線――現在までの進化形と今後の課題……四ッ柳高敏
【パリから見えるこの世界】
90.『近代の超克』,あるいは日本人による日本の科学と知の省察……矢倉英隆 
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糖尿病とスティグマ
273巻2号 2020年4月11日
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葛谷健 著
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