
播種性血管内凝固症候群(DIC)は,がんや白血病,感染症などを基礎疾患において血液凝固系が全身にわたり過度に活性化された病態である.DICにみられる臨床症状や検査値の多様性は,基礎疾患により影響を受ける線溶系の動態を反映するものである.日本血栓止血学会“DIC診断基準2017年版”は血小板数の経時的変化やトロンビン生成の指標となるトロンビン・アンチトロンビン複合体や可溶性フィブリン,プロトロンビンフラグメント1+2などの凝固系分子マーカーを重要な診断項目として位置づけている.また線溶系に関連する臨床検査であるプラスミン-α
2プラスミンインヒビター複合体,PAI-1やe-XDPsはDICの病態評価に関連する臨床検査としてとらえられている.新規DIC診断基準の根幹をなす臨床検査を十分に理解し適切な治療介入に結びつけることがDICの生命予後を改善するために重要である.