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255巻10号 2015年12月5日
第1土曜特集
小脳の最新知見
−基礎研究と臨床の最前線
12月第1土曜特集
はじめに
小脳は,大脳の尾側かつ脳幹の背側に位置し,霊長類や哺乳類はもちろん魚類などにも共通にみられる重要な神経組織である.その組織構成は,皮質ではPurkinje細胞,顆粒細胞,登上線維,苔状線維,平行線維などからなるきわめて特徴的な構造をとり,シナプスでのトランスミッター,その放出や受容にかかわる分子なども多数明らかになっている.また,その機能も非常によく研究されており,体の平衡,円滑な運動,運動学習,認知機能などが知られている.ただし,ヒトでは小脳が障害されたときに診察でわかる症候として,ふらついてまっすぐ歩けない,文字が巧く書けない,言葉がもつれるなどの平衡の障害や運動失調症状が知られているものの,その他の機能障害についての症状は知られておらず,まだまだ研究が必要である.
小脳障害の原因にはほかの部位と同様に,先天奇形,外傷,腫瘍,血管障害,感染や自己免疫反応を含む炎症,代謝障害,変性疾患などが知られている.変性疾患とは,血管障害や炎症などの原因がなく神経細胞が徐々に壊れていき,やがて細胞死に至る疾患であるが,わが国では全体として約3万人の患者がいると推定されている.他の領域と同様,近年の分子遺伝学の進歩により約30%を占める遺伝性病型について数十もの原因遺伝子が解明されている.優性遺伝性病型がほとんどで,4疾患が大部分を占めていて,これらの頻度の高い疾患を中心に発症機序の解明が進んでいる.また,遺伝子診断はもちろんのこと,MRIやSPECT,PETなどの機能画像も含め,診断法も大きく進歩したといえる.
しかし,治療についてはまったく不十分な状況にある.現在のところ,感染症ならその原因となる細菌に対する抗生剤など原因療法はあるものの,結果として発生した運動失調症という小脳機能の障害を回復する治療は十分に成功しているとはまったくいえない.その状況は,ずっと後になってから研究が進んだAlzheimer病においてさえ,4種類もの効果を実感できる薬物が開発されているにもかかわらず,脊髄小脳変性症の運動失調症に対しては,2種類の薬物は市販されているもののその効果はまだまだ十分とはいえない.
この治療薬開発の遅れにはさまざまな理由があるが,その遅れを克服するためのひとつは,すべての関係者の緊密な協力であることに疑いの余地はない.すなわち,神経内科などの医師,小脳疾患の患者はもちろん,小脳研究にかかわる基礎研究者,研究や医療・福祉にかかわる行政関係者,薬物開発の産業界などがすべて協力して発症機序の解明を進め,それを克服する治療法を開発すべきである.本特集が小脳とその疾患に関心のある医師や研究者,そしてその研究や治療法の開発にすこしでも役立つことを切望するものである.
目 次
小脳は何をしているか:構造と機能の最先端
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小脳の解剖(小葉構造)と基本的な機能局在……杉原泉
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小脳の血管解剖と血管分布……三木一徳
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Purkinje細胞の樹状突起形成機構──新しい方法で古い転写因子RORαの役割解明に挑む……竹尾ゆかり・柚崎通介
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小脳の機能:平衡,協調運動機能……筧慎治・他
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小脳による運動学習の神経機構……永雄総一
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小脳と高次機能……北澤茂
小脳の病態:小脳疾患の診療の最前線
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小脳障害の症候……西澤正豊
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小脳イメージングの進歩……
花川隆
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小脳の生理学的機能検査……松本英之・
宇川義一
【各 論】
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小脳疾患の診断の流れ……
水澤英洋
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小脳の血管障害……岩澤絵梨・
石橋哲
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小脳腫瘍……田中將太・齊藤延人
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小脳奇形──Chiari奇形を中心に……菅原貴志・他
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小脳の感染症……吉田邦広・佐藤俊一
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非感染性炎症性小脳失調症……南里和紀
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脊髄小脳変性症の全体像……橋祐二・
水澤英洋
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日本に多い優性遺伝性脊髄小脳変性症(SCA,6,31, DRPLA)……石川欽也
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優性遺伝性脊髄小脳変性症のトピックス……池田佳生
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劣性遺伝性脊髄小脳変性症……他田正義・小野寺理
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多系統萎縮症……三井純
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皮質性小脳萎縮症……
桑原聡
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遺伝性痙性対麻痺……瀧山嘉久
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脊髄小脳変性症の薬物療法……矢部一郎
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小脳性運動失調症のリハビリテーション……
宮井一郎
255巻10号 2015年12月5日
週刊(B5判,100頁)
発行時参考価格 2,400円
注文コード:925510
雑誌コード:20471-12/5
品切れ
小脳の最新知見
水澤英洋 編
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