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239巻6号 2011年11月5日
第1土曜特集精神発達遅滞・自閉症の分子医学11月第1土曜特集
はじめに
第1土曜特集 精神発達遅滞・自閉症の分子医学 はじめに 岡澤均
  精神発達遅滞・自閉症に代表される発達障害は私たちにきわめて身近な疾患であり,大きな社会的問題ともなっている.発達障害には1884 年のルドルフ・ベルリンによる読字障害,1943 年のレオ・カナーの自閉症の記載から100 年以上の臨床・研究の歴史がある.しかし,その根本的理解と真に有効な治療法確立にはいぜんとして距離があるというのが,臨床家・研究者そして社会の認識ではないであろうか.
 この遅れにはいくつかの原因が指摘されているが,以下のようにまとめることができるだろう.
 第1 に,“発達障害”の概念そのものに混乱がある.ICD,DSM などの国際的分類・診断基準,あるいは発達障害者支援法などの法令には相互にズレがある.歴史的に分類帰属がたびたび変更されていることもその証拠である.さらに,非医学部出身研究者が“発達障害”でイメージするものは脳組織・細胞の発達段階に生じる形態・機能異常であり,これらは分子的裏付けをもっている.これはかならずしも自閉症スペクトラムあるいは広汎性発達障害とイコールではない.言語・社会性などの選択的症候(中間表現型)の理解には,この間をつなぐもの,たとえば神経回路選択的障害の分子基盤解明が必要であろう.また,分子生物学という共通言語が多くの医学領域で遺伝学,生化学,生理学,病理学,臨床医学の相互理解を促進し急速な進歩をきたしたことを顧みると,発達障害においても立場を超えた共通認識・共通言語の形成が必要であろう.
 第2 には,“発達障害”が均一な疾患ではないことにある.脳疾患研究においてはじめに分子生物学のアウトブレークが起こったのは神経変性疾患である.この場合,病理学的メルクマール(Alzheimer 病の老人斑,Parkinson 病のLewy 小体など)が疾患の均一性担保に大きな役割を果たしてきた.それに対して,中間表現型により臨床診断される“発達障害”の分子遺伝学的・分子生物学的基盤は,当然ながら多様である.この不均一性に対してはGWAS(genome−wide association study),NGS(next generation sequencing)など新技術による共通性抽出が威力を発揮しつつあり,今後多量の原因遺伝子あるいはその候補が固定されるであろう.それらの特定遺伝子変異によるモデルケース的発達障害疾患の分子病態の掘り下げと中間表現型の対応が将来的に情報統合がなされることで,不均一性の解決が図られるであろう.
 第3 には,環境と遺伝子のかかわりである.歴史的に,自閉症は“環境・教育”が強調された時期と“遺伝”が強調された時期を経てきた.しかし,エピゲノム研究の進歩により,遺伝子発現が環境によって変化することは常識となっている.遺伝子型による脆弱性と環境要因の相互作用によって表現型が現れるという認識のもとに,臨床・研究が整理されるべきであろう.
 本特集では,このような将来展開に向けて,幅広い研究トピックについて第一線で活躍をされている方々にご執筆を依頼した.ご多忙のなか,すばらしい総説をお寄せいただいたことに感謝申し上げるとともに,本特集が異分野の研究者間の相互理解と若手研究者・臨床家の刺激となり,精神発達遅滞・自閉症をはじめとする“発達障害”の解明と治療にすこしでも役立つことができれば望外の幸せである.
目 次
発達障害・自閉症の臨床病理
発達障害における認知機能障害と神経生理学的所見……加我牧子・他 詳細
発達障害の機能画像――自閉症をPETでみる……森則夫 詳細
脳の微小形成不全と発達障害……新井信隆 詳細
発達障害の脳組織バンクの重要性と課題……嶋幸男・他 詳細
既知の遺伝子異常による発達障害・精神遅滞の分子医学
脆弱X症候群の分子機構と治療……難波栄二 詳細
レット症候群の分子医学……三宅邦夫・久保田健夫 詳細
ATR-X(X連鎖αサラセミア・精神遅滞)症候群の分子遺伝学――エピジェネティクスの破綻により発症するクロマチン病……和田敬仁 詳細
PQBP1遺伝子異常による発達障害の分子医学……塩飽裕紀・岡澤均 詳細
発達障害・自閉症の分子病態モデル
Pax6変異ラット――発達障害モデルとしての可能性……大隅典子 詳細
小脳発達の分子機構と小脳無形成モデルマウス“セレベレス”……星野幹雄 詳細
子の脳発達に影響を及ぼす母体環境――母子間バイオコミュニケーションの提唱……和田恵津子・和田圭司 詳細
ミトコンドリア機能異常と発達障害……後藤雄一 詳細
ゲノムワイドな転写,miRNA-標的RNAネットワーク,そしてCNV――脳神経疾患との関連……塩見春彦 詳細
ウイルス感染症と自閉症……水口雅 詳細
発達障害・自閉症の新たなモデルマウスと分子病態
自閉症感受性候補遺伝子CAPS2/CADPS2における遺伝的多型とノックアウトマウスの行動障害……定方哲史・古市貞一 詳細
ヒト型自閉症マウスモデル……内匠透 詳細
CD38分子機能低下とオキシトシン分泌低下――オキシトシン分泌障害による自閉症サブクラス……東田陽博・他 詳細
発達障害・自閉症のゲノム研究
自閉性障害・注意欠陥/多動性障害のゲノムワイド関連研究(GWAS)……治徳大介・吉川武男 詳細
自閉症におけるコピー数異常研究……村上翠・他 詳細
自閉症のイメージングジェネティクス……山末英典 詳細
精神発達遅滞・自閉症の分子医学
239巻6号 2011年11月5日
週刊(B5判,100頁)
発行時参考価格 2,200円
注文コード:923906
雑誌コード:20471-11/5
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