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227巻1号 2008年10月4日
第1土曜特集癌幹細胞−癌研究のパラダイムシフト10月第1土曜特集
はじめに
第1土曜特集 癌幹細胞──癌研究のパラダイムシフト はじめに 赤司浩一
  腫瘍組織は多様な分化段階や増殖能力をもった細胞群により構成されており,臨床的には,いわゆる“組織型”や“病型”による分類,さらにそれに基づいた治療戦略が立てられている.最近,腫瘍組織の一部の分画のみが,免疫不全マウスへの異種移植後に腫瘍を形成できることから,腫瘍組織は少数の“腫瘍幹細胞”に由来することが提唱されている.
このコンセプトによれば,症例ごとに異なる腫瘍幹細胞の分化能力や自己再生能力が,腫瘍の多彩な表現型を反映していると考えられる.
 慢性骨髄性白血病における画期的治療薬である imatinib の例に示されるように,“腫瘍幹細胞”の概念はそれを標的とした細胞・分子標的薬剤開発の重要な理論的根拠となりうる.
造血系における研究成果から, @ 白血病幹細胞は正常幹細胞だけでなく分化過程の前駆細胞からも発生できること, A 白血病幹細胞化には恒常的増殖シグナルの獲得と分化能力の喪失とが必要であること, B 白血病幹細胞は正常幹細胞と,自己再生メカニズムの多くや骨髄中のニッチを共有しているらしいこと,などが明らかになった.このように,白血病幹細胞研究は,歴史的に知識が集積されてきた造血幹細胞システムを正常モデルとし,それと対比しながら進められてきた.
 一方で,固形癌における腫瘍幹細胞コンセプトの是非に関しては,臨床・基礎医学者において広く同意が得られているとはいい難い.まず,固形癌が臨床的に発症するには比較的長い時間がかかるためか,例えば複数の複雑な染色体異常をもつ例が多く,厳密には単クローン性疾患とはいえない症例が多い.すなわち,複数の性格の異なる腫瘍幹細胞が並列に病態の進行にかかわっている可能性がある.また,非造血系の臓器では,正常の定常状態において“幹細胞システム”が恒常性の維持にどう働いているかが明らかでない.したがって,本特集でも触れられているように,固形癌幹細胞研究を治療に応用するためには,非造血系臓器における幹細胞・前駆細胞の存在の証明,その分化メカニズムなどの基礎的知識の集積がさらに必要である.
 現在までの癌研究において,多くの腫瘍化メカニズムが個別に知られてきた.これらを腫瘍幹細胞のなかでの共同作業因子としてとらえることで,新しい腫瘍学と治療法の開発が進むことは間違いない.以上のように,幹細胞コンセプトの導入による今後の癌研究の展開が注目される.
目 次
白血病幹細胞
急性骨髄性白血病(AML)における白血病幹細胞……松村到金倉譲 詳細
急性リンパ性白血病(ALL)における白血病幹細胞……宮本敏浩 詳細
慢性骨髄増殖性疾患の白血病幹細胞……久冨木庸子・下田和哉 詳細
造血器腫瘍と幹細胞ニッチ……勝見章・直江知樹 詳細
固形癌幹細胞
消化器癌における癌幹細胞……岡野美穂・他 詳細
胃癌における癌幹細胞……野村幸世 詳細
肝胆膵領域における癌幹細胞研究の動向……谷口英樹 詳細
幹細胞様グリオーマ細胞──グリオーマ幹細胞……近藤亨 詳細
癌幹細胞制御の分子学的メカニズム
癌幹細胞の自己複製制御機構……岩間厚志 詳細
がん幹細胞の発生・維持・分化におけるシグナル伝達機構……仲一仁・平尾敦 詳細
癌幹細胞とmicroRNA……小崎健一・稲澤譲治 詳細
癌幹細胞と遺伝子異常──マウス骨髄移植モデルの有用性……米野由希子・北村俊雄 詳細
癌幹細胞のアッセイシステム
癌幹細胞のアッセイシステム……竹中克斗・赤司浩一 詳細
癌幹細胞を標的とした新規治療法の開発
白血病幹細胞を標的とした新規治療法の開発……熊野恵城・黒川峰夫 詳細
癌幹細胞
227巻1号 2008年10月4日
週刊(B5判,92頁)
発行時参考価格 2,000円
注文コード:922701
雑誌コード:20471-10/4
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