
遺伝性ATTRアミロイドーシスはトランスサイレチン(
TTR)遺伝子変異に起因する常染色体優性遺伝の疾患で,多発ニューロパチー,自律神経障害,心筋症が主症状である.本症に対しては肝移植の有効性が1990年代に確立しているが,移植の適応とならない患者が多くを占める.新規の疾患修飾療法として,TTR四量体の安定化薬(ジフルニサル,タファミジス)の有効性が臨床試験で証明され.タファミジスは本症治療薬として日本を含む30カ国以上で認可されている.さらに,siRNAなどを用いた遺伝子治療の臨床試験も進行しており,本症治療の選択肢は広がりつつある.現時点における本症の治療指針としては,肝移植後の予後が良好な若年のV30M(p. V50M)変異を有する患者では肝移植を第一選択,その他の患者ではタファミジスを第一選択とすることを基本とし,変異の種類や年齢・病状により症例ごとに最善の治療を検討する必要がある.

遺伝性ATTRアミロイドーシス,トランスサイレチン(TTR),肝移植,ジフルニサル,タファミジス