
わが国のアルコール医療はこれまで長くアルコール依存症患者を対象に,断酒を唯一の治療目標としてきた.一方で,認知行動療法の導入など治療技法の改良はされたものの治療成績は2年後の完全断酒率約2割からあまり改善されていない.アルコール使用障害も早期に飲酒量低減を目標に介入することにより健康被害も少なく効率的に行動変容が起こることが確認され,その介入技法としてブリーフインターベンション(BI)が開発され,1980年代以後欧米を中心に発展してきた.わが国ではBIに情報提供の要素を加え集団にも適応可能にしたHAPPYが,減酒支援のツールとして生活習慣病や飲酒運転対策に職域などで使用されている.アルコール依存症治療の経験のないさまざまな職種のコメディカルスタッフが,医師がいない状況でも比較的容易にクライアントのニーズに応じて介入できるよう各種のツールを用意し,パッケージ化したものがHAPPYである.

危険な飲酒,多量飲酒,飲酒量低減,ブリーフインターベンション(BI),HAPPY