
先行研究のレビューからすると,暴力・攻撃性に関する飲酒の影響は,多くの支持的データがあるものの,なお確定的・整合的なコンセンサスにあるとはいいがたい.しかし,飲酒の影響を,現時点での飲酒パターンや飲酒直後の直接的影響と,長期にわたる累積的問題飲酒からの間接的影響とに区別すると,より整合的な理解が可能となる.ドメスティックバイオレンス(DV)との関連性は明らかに後者においてより明白であり,DVをアルコール関連問題のひとつとして理解することが重要であることが強調された.さらに,DV防止法やアルコール健康障害対策基本法の施行とも併せて,今後に向けた予防・介入においてもアルコール臨床がひとつの有力なゲートキーパー機能を果たしうる可能性について触れられた.

飲酒,ドメスティックバイオレンス(DV),DV防止法,アルコール健康障害対策基本法,アルコール関連問題