
ゲノム配列の狙った部位を特異的に入れ替えるゲノム編集技術の発達により,これまで困難であったヒト細胞でのゲノム改変が可能となってきた.とくに,さまざまな細胞種へ分化できるES/iPS細胞への応用も目覚ましく,レポーター細胞の作成や細胞のマーキング,遺伝子破壊や変異修復などさまざまな応用例が報告されている.iPS細胞の臨床応用を後天性疾患のみならず先天性の遺伝子変異疾患にまで広げるためにも,効率的かつ精密な遺伝子編集技術の確立が必須である.本稿では,これまでのヒトES/iPS細胞におけるゲノム編集研究例を示しつつ,今後の研究展望について概説する.