
腎性尿崩症は腎での尿濃縮力が障害され,多量の低浸透圧尿が排泄される疾患である.結果として多飲を伴い,飲水が制限されると高Na血症,高浸透圧血症が認められる.原因は先天性(遺伝性)と後天性に分けられ,先天性では腎集合管に存在するバゾプレシン受容体2型(V2R)とアクアポリン2水チャネル(AQP2)をコードする遺伝子に変異が認められる.その頻度はV2Rが約8割の家系で認められ,AQP2が1割で,残り1割では不明であり,他の原因遺伝子が存在する可能性もある.後天性の原因としては躁うつ病の治療薬のリチウム製剤によるものの頻度が高く,AQP2の障害や集合管のリモデリングが認められ,この副作用は薬剤服用中止後も長く続くことが多い.

アクアポリン,AQP2,バゾプレシン,V2R,AVPR2,尿濃縮