
水利尿不全は,過剰に分泌されたバゾプレシン(AVP)が腎集合尿細管での水の再吸収を促進させる結果,体液貯留を招く病態である.循環血液量が増加するが,体内のナトリウム(Na)含量には大きな変化がないため希釈性低Na血症を呈する.AVPが尿濃縮の律速因子になるので,AVPの分泌あるい腎作用を調節できれば水利尿不全・低Na血症の治療につながる.AVP V
2受容体拮抗薬はAVPのV
2受容体結合を競合的に阻害するので,水利尿を促進して増加した循環血液量を補正できることから,AVPの分泌過剰の病態の治療に有用なことが期待できる.

バゾプレシン(AVP),水利尿不全,低ナトリウム(Na)血症,水利尿薬