
リンパ球性漏斗下垂体後葉炎(LINH)は,病理所見で漏斗部および後葉にリンパ球や形質細胞が浸潤する慢性の炎症像が認められ,中枢性尿崩症を呈する疾患で,特発性中枢性尿崩症の主たる原因であると考えられている.その病因に自己免疫機序が関与すると推察されているが,詳細は不明である.特発性尿崩症の多くの症例で抗バゾプレシン細胞抗体(AVPcAb)が存在し病態に関与する可能性が報告されている一方,他の中枢性尿崩症を呈するLangerhans細胞組織球増加症や胚細胞腫でも高率にAVPcAbが認められたという報告もあり,特異性および病態との関連は不明の点が多い.著者らは,LINH患者血清中にラブフィリン3a抗体が高率に存在し,血中ラブフィリン3a抗体はLINHの有用な診断マーカーとなる可能性を見出した.

リンパ球性下垂体炎,リンパ球性漏斗下垂体後葉炎(LINH)