
アミロイド仮説を軸としたアルツハイマー病(AD)病態機序の理解をもとに,アミロイドβ(Aβ)をおもな標的としたAD根本治療薬の開発が行われてきた.そのなかでも先陣を切って抗Aβ免疫療法や,Aβ産生を抑制するγ-secretase阻害薬および制御薬の治験が行われたが,薬剤のいずれも後期臨床試験においてADによる認知症患者への有効性を示せていない.しかし,引き続きさまざまなアプローチで開発が行われており,Aβ産生の第1段階を抑制するBACE1阻害薬や,神経細胞死への関与が示唆されるtauに作用する薬剤の開発も精力的に進められている.一方で大規模臨床観察研究から,これらAD根本治療薬による介入はより早期に先制医療として開始することが重要であると考えられるようになった.

アルツハイマー病(AD),アミロイド仮説,アミロイドβ(Aβ),タウ(tau),根本治療薬