
腎の血管系は,糸球体に高い血圧で大量の血液を送って糸球体濾過量を確保するようにできあがっている.動脈の内皮細胞は典型的な半小胞(caveola),Weibel-Palade小体,アクチン・フィラメントを備えているが,中膜の平滑筋細胞との間にギャップ結合を備えているのが特徴である.中膜の平滑筋層は他の組織に比べて厚くできており,平滑筋は円周方向に走って円周方向の張力を発生する.動脈の外に広がる動脈周囲結合組織では縦走するコラーゲン線維が豊富で,長軸方向の張力を発生するとともに,交感神経線維およびリンパ管の通路になっている.糸球体は網目状の毛細血管からなる糸玉で,内部にある毛細血管とメサンギウムの表面を糸球体基底膜と足細胞が覆っている.糸球体毛細血管の内皮細胞は有窓性で隔膜のないのが特徴であり,これにより孔が大きくなり,糸球体濾過量を確保するのに役立つと考えられている.

内皮細胞,平滑筋細胞,動脈周囲結合組織,糸球体毛細血管