
うつ病患者は健常人と比較して,持続的な血中グルココルチコイドの濃度上昇を示す割合が高い.この持続的で高いレベルのグルココルチコイドはうつ病を引き起こす原因である可能性があるが,一方で脳由来神経栄養因子(BDNF)もうつ病発症との関連が示唆されている.著者らは,BDNF 機能とグルココルチコイド機能との相互作用に注目して細胞生物学的解析を行った.その結果,中枢ニューロンにおける BDNF の長期的および短期的な機能がグルココルチコイド曝露によって抑制される分子メカニズムの一端が明らかになった.

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