
密封小線源の取扱いは医療法と放射線障害防止法の二重の規制を受ける.小線源は医療法では“下限数量の千倍の数量”以下の“診療用放射線照射器具”と,それ以上の“診療用放射線照射装置”とに分けられ,それぞれ使用場所の制限を受ける.医療用の線源については規制免除となるクリアランスの対象となる核種はなく,すべて購入時の放射能量によって規制を受ける.すなわち,法令上の規制は物理学的半減期による放射能の減衰を考慮していないことを認識しなければならない.前立腺癌に対する I−125 の永久挿入治療がわが国で広く普及してきたのは,実情に即した法令上の改定が行われたことが大きな契機であった.すなわち,医療法上は退出基準,一般病室の一時的管理区域の設定,ならびに一定条件の下で診療用放射線照射装置室での照射器具(シード)の使用の解禁が大きい.また,体内に挿入されたシード線源は障害防止法の規制から外れ,医療法で一元的に規制管理されるようになったことが新しい放射線医療技術の国内導入の大きな拍車になった.

小線源治療,障害防止法,医療法,ヨウ素125(I−125),密封小線源