血栓・塞栓症の病態・検査・治療
35巻13号 2007年12月20日 p.1416-1420
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はじめに | ![]() |
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血管の損傷による出血を防ぐために,止血血栓は形成される.しかし,血管の破綻や損傷を伴わずに血管内腔に血栓が形成される場合があり,この止血を目的としない非生理的な血栓が病的血栓である.一方,生体には血栓を溶解する生理的機構が存在する.これが血液線溶系であり,病的血栓を除去する血栓溶解療法の基盤となっている.
従来から血栓形成には, @ 血管壁の性状の異常,A 血液成分の異常, B 血流の異常の 3 つの要因(Virchow's triad)が大きく関与するとされる.動脈硬化性病変部では血管腔が狭小化して血流の異常を引き起こすが,この血流異常は動脈硬化巣の局所に高いずり応力を発生させ,その結果,活性化された多くの血小板が von Willebrand 因子を介して架橋結合し,血小板凝集塊が形成される. さらに動脈硬化が進んで粥腫にびらんや破綻が生じると,血管内皮組織が血液に曝露され,血小板がさらに粘着・凝集しやすくなり,凝固系が活性化される.凝固系には内因系と外因系があるが,いずれも最終的にはプロトロンビンから活性化されたトロンビンによってフィブリンが形成される反応である.このように,最初に発生する血小板主体の血栓にフィブリン形成が加わって病的血栓の形成が進行し,動脈を閉塞する.……(雑誌本文は続きます) |
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35巻13号 2007年12月20日
月刊(B5判,192頁) 発行時参考価格 4,200円 注文コード:296030 雑誌コード:08608-12 |
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