感染症迅速検査アップデート
36巻13号 2008年12月20日 p.1361-
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はじめに | ![]() |
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近年,RS(respiratory syncytial)ウイルスやヒトメタニューモウイルスなどによる肺炎や細気管支炎の重要性が,小児科領域のみならず,高齢者や免疫抑制状態の成人患者においても明らかとなってきている.また,2003 年 2 月下旬より世界的なアウトブレイクを起こした SARS(重症急性呼吸器症候群)や,現在も東南アジアを中心に発生している H5N1 鳥インフルエンザのヒトへの感染事例,今後のパンデミックが危惧されている新型インフルエンザの出現など,新興ウイルスによる重篤な下気道感染症が世界的に重要な問題となっている.
2001 年にヒトメタニューモウイルス,2003 年に SARS コロナウイルス,2004 年にコロナウイルス−NL63,2005 年にコロナウイルス−HKU1 およびヒトボカウイルスなどの,新種の呼吸器ウイルスが次々に発見されていることからも,さまざまなウイルス感染症に迅速に対応できる診断法の開発が急務であると考えられる.とくに,特別な装置や機器を用いずに,どこでも誰でも簡単に検査ができる POCT(ポイント・オブ・ケア・テスト)の有用性と,より高感度にあらゆる病原微生物に対応できる遺伝子診断法の重要性が認識されている. 本稿では,簡易迅速診断キットがすでに市販されている RS ウイルスおよびアデノウイルスを中心に,おもに呼吸器感染症についての臨床ウイルス学的な特徴を述べ,これらのウイルスに対する免疫クロマトグラフィー法を利用した簡易迅速診断キットの有用性,さらに,従来の(RT−)PCR(polymerase chain reaction)法や multiplex−(RT−)PCR 法,LAMP(loop−mediated isothermal amplification)法,我々の教室でも検討を行っている蛍光マイクロビーズアレイシステムを用いた遺伝子検査法などについて概説する.……(雑誌本文は続きます) |
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36巻13号 2008年12月20日
月刊(B5判,222頁) 発行時参考価格 4,200円 注文コード:296040 雑誌コード:08608-12 |
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