医歯薬出版のページサイトマップ
医学のあゆみTOP最新号通常号第1土曜特集号第5土曜特集号バックナンバー年間定期購読
ホーム雑誌一覧医学のあゆみ > 最新号
267巻6号 2018年11月10日
生体リズムを基盤とした時間医薬科学の展開
はじめに
AYUMI 生体リズムを基盤とした時間医薬科学の展開 はじめに 土居雅夫
  生体リズムの研究分野は,ヒトにも共通する哺乳類の時計遺伝子の発見を端緒に,生体機能の周期的変動を扱う基礎と応用の学際的学問領域として発展してきた.生体時計を構成する物質が同定され,その機能破綻による疾病が明るみになるにつれ,生体リズムの研究はこれまでに増して,よりプラクティカルに医薬の領域にどのように貢献することができるのか,知識の社会実装へ向けた重要な局面を迎えている.
 創薬の可能性の例としては,生体リズムの異常が直接的に大きな影響を与える睡眠覚醒障害や体温調節障害に対する治療薬開発への貢献が考えられる.抗がん薬や肥満・糖尿病・循環器疾患に対する生活習慣病治療薬などの開発においては,体内時計そのものをコントロールするだけでなく,体内時計が制御する被時計制御遺伝子群を標的とした治療薬の開発や,末梢臓器に内在する概日時計機構を制御するインプット系シグナルを創薬の対象とすることが重要となる.
 生体リズムの活用は新薬創出のみではない.病気の症状や薬の効き方は体内時計の時刻に応じて変動し,それを予測することができる.体内時計の時刻情報を医療エビデンスとした既存薬品の使用における薬効の最大化と副作用の軽減が期待される.朝型・夜型・睡眠時間などの個人のクロノタイプによる就学・就業の効率化,また,低コスト健康維持装置としての体内時計を利用したサクセスフルエイジングなど,ヒトを対象とした体内時計研究の重要性が増している.
 生体リズムの研究分野は時間情報を扱う学際的な領域であり,従来の生理学のみならず,計算科学的アプローチによる論理的数理モデルの活用や,全身の組織・細胞にわたる多元的オミックス解析に基づく時間情報生物学,内分泌・代謝・睡眠・記憶・行動制御に関わる神経科学,ヒトを対象とした遺伝学,創薬,臨床応用科学などの広範なライフサイエンス分野を巻き込んだ研究領域に発展している.
 体内時計を基盤とした最新の研究を紹介する機会をいただいた本誌関係諸氏,執筆のご助力を賜りました先生方にこの場をお借りして深謝するとともに,本特集が読者のご専門と生体リズムとの接点を考えるうえでの一助となれば幸いである.
目 次
体内時計の中枢を調節するG蛋白質共役型受容体シグナル……中川峻平・土居雅夫
ヒト遺伝学を用いた概日時計研究……平野有沙
概日リズム,睡眠,代謝をともに制御するあらたなリン酸化シグナル……早坂直人・他
ショウジョウバエと哺乳類の間で進化的に保存された体温リズムの調節機構……合田忠弘・M田文香
体内時計とがん幹細胞様細胞……大戸茂弘・他
体内時計と夜間頻尿……根来宏光・千菊敦士
数理モデルによるジェットラグ症状の理解……郡宏
TOPICS
【生化学・分子生物学】
低分子量G蛋白質Arf6によるリンパ管新生と腫瘍増殖の制御……金保安則 
【麻酔科学】
術後高次脳機能障害──注意機能の障害と頭部画像所見からみたトピックス……石田和慶・松本美志也 
【臨床検査医学】
敗血症早期診断のための検査法──迅速遺伝子検査の最前線……山川壽美・他 
連載
【移行期医療──成人に達する/達した患者への医療】
17.移行期医療を受け止める子ども達を考える……小林信秋 
【地域包括ケアシステムは機能するか】
4.ソーシャルキャピタルと地域包括ケアシステム……藤原聡子・他 
フォーラム
【がん教育の現状と課題】
5.がん教育の実践2:今とこれからを生きる君たちへ──(がんと)命の授業……儀賀理暁 
【パリから見えるこの世界】
73.風土と人間,あるいは土地を選ぶということ……矢倉英隆 
週刊「医学のあゆみ」のご注文
生体リズムを基盤とした時間医薬科学の展開
267巻6号 2018年11月10日
週刊(B5判,70頁)
定価 1,404円(本体 1,300円+税8%)
注文コード:926706
雑誌コード:20472-11/10
買い物カゴへ追加
買い物カゴを見る
お問い合わせ 会社案内 About us リンクについて オンラインショップの返品について
当サイトはリンクフリーです。ご自由にリンクしてください.
Copyright (C) 2018 Ishiyaku Pub,Inc.