内容紹介
抗菌薬は内科系,外科系を問わず臨床の場では必ず使われており,とりわけ臨床医にとっては関心の高いテーマである.本別冊では,耐性菌のメカニズム,抗菌薬のエビデンス,コントラバーシ,新しい抗菌薬の話題のセクションに分け,抗菌薬を基礎・臨床面からUpdateな情報を取り上げ収載.
目次
抗菌薬UPDATE
企画 河野 茂(長崎大学医学部第二内科学教室)
はじめに 河野 茂
第1章 耐性菌の分子メカニズム
MRSAとVRSA 平松啓一
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) 西野武志
肺炎球菌の薬剤耐性機序 中野竜一・井上松久
耐性インフルエンザ菌 生方公子
進化するクラスA型β−ラクタマーゼ−β−ラクタマーゼの進化 石井良和
細菌は抗菌薬(異物)排出システムで自己防衛する 後藤直正
耐性淋菌 松本哲朗
薬剤耐性マイコプラズマは普通に野生に存在する−臨床と分離株の性状とのdiscrepancyはなにを意味するか 成田光生
抗結核薬耐性の分子機構 阿部千代治
病原真菌における抗真菌薬耐性 山口英世
薬剤耐性マラリアの分子メカニズムと疫学 狩野繁之
第2章 抗菌薬をめぐるエビデンス
慢性気道感染症とマクロライド療法−悪循環を断ち切るマクロライドの抗炎症作用 吾妻安良太・他
心臓血管系手術時における抗菌薬予防投与 光武耕太郎
ピラジナミドを加えた結核の初期強化短期化学療法 下方 薫
H.pyloriと除菌療法 兒玉雅明・藤岡利生
市中肺炎とレスピラトリーキノロン 松島敏春
サイクリング療法による薬剤耐性菌の抑制 賀来満夫
ペニシリン耐性肺炎球菌に対する十分量のペニシリンによる治療−ペニシリン耐性肺炎球菌感染症にペニシリンは有効か? 川畑雅照
感染症の迅速診断法 古谷信彦・山口惠三
第3章 抗菌薬をめぐるコントラバーシ
急性気管支炎に抗菌薬は必要か
−必要とする立場から 渡辺 浩
−必要としない立場から 中浜 力
動脈硬化に抗菌薬は必要か−クラミジア感染をめぐって
−必要とする立場から:Chlamydia pneumoniaeは動脈硬化の新しい危険因子か 豊川 毅・太崎博美
−必要性に疑問を唱える立場から 岸本寿男
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に抗真菌薬は必要か
−必要とする立場から 二木芳人
−必要としない立場から 下田照文
ステロイド投与時に予防的抗結核薬(INH)の内服は必要か
−ステロイド投与時に予防的抗結核剤の内服は必要である:安全なステロイド療法のために 安藤俊二・門田淳一
−潜在的結核感染の予防的治療の問題点 中島正光・河野修興
呼吸器感染症にニューキノロン薬をfirst choiceにするか
−First choiceにする立場から 朝野和典
−First choiceにしない立場から 大石和徳
腸管感染症に対する抗菌薬投与の是非−O157を含んで
−必要とする立場から 相楽裕子
−感染性腸炎に抗生物質を使用しない立場から 菅沼明彦・青木 眞
第4章 新しい抗菌薬
アジスロマイシンの外来治療薬としての可能性−アジスロマイシンの使い方 宮下修行・深野浩史
テリスロマイシンの呼吸器感染症治療薬における位置づけ 青木信樹・茂呂 寛
レスピラトリーキノロンの適切な使い方−ガチフロキサシンを中心に 斎藤 厚
カルバペネム抗菌薬の特徴とその使い分け−ビアペネムを中心に 五十嵐尚志・後藤 元
注射用ニューキノロン薬の使い方−呼吸器感染症における臨床的位置づけ 渡辺 彰
抗VRE抗菌薬−オキサゾリジノン系抗菌薬リネゾリド 花木秀明
抗VRE抗菌薬:ストレプトグラミン系抗菌薬−キヌプリスチン/ダルフォプリスチン 炭山嘉伸・田中英則
抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)の有用性−新型インフルエンザ出現時の役割 菅谷憲夫
新しい抗菌薬ミカファンギンの位置づけ 宮崎義継・河野 茂
第5章 外科における抗菌薬療法
外科感染症の予防と抗菌薬治療−周術期感染にいかに対応するか 横山 隆
〔外科周術期の予防的抗菌薬投与のスタンダード〕
(1)上部消化管における抗菌薬投与 針原 康・小西敏郎
(2)下部消化管における抗菌薬投与 楠 正人
(3)肝胆膵における抗菌薬投与 為佐卓夫・岡 正朗
〔外科的感染症患者に対する抗菌薬投与〕
(1)High risk患者に対する抗菌薬療法 平田公一・水口 徹
(2)腹膜炎に対する抗菌薬療法 遠藤重厚・佐藤信博
(3)肝胆道系感染症患者に対する抗菌薬療法 渡会伸治・他
(4)重症感染症に対する新しい抗菌薬の役割 小野 聡・他
■サイドメモ
“バンコマイシン耐性”の定義の問題
バンコマイシン耐性変異株の選択実験
PBP3
排出システムと排出蛋白質
マクロライド剤の作用機序と耐性機構
薬剤耐性の用語の変更
排出ポンプと多剤耐性
マラリアとマラリア原虫
嚢胞性線維症(cystic fibrosis:CF)
Red man症候群
新しい結核対策の戦略−DOTS
H.pylori除菌治療とITP
院内肺炎におけるニューキノロン
非定型肺炎を疑う項目
耐性菌を増やさないために
多剤耐性緑膿菌
Toll-like receptor(TLR)
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