やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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最新臨床工学講座
生体機能代行技術学 血液浄化療法装置

定価 4,400円 (本体 4,000円+税10%)
  • 総頁数:256頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2024年4月
  • ISBN978-4-263-73464-3
  • 注文コード:734640

講義から国試対策まで幅広く役立つ定番テキストが全面リニューアル!

内容紹介

●全国の教育施設で用いられている定本テキスト「臨床工学講座」シリーズが,新たに「最新 臨床工学講座」シリーズとして全面リニューアル!
●日本臨床工学技士教育施設協議会監修.
●「令和3年版臨床工学技士国家試験出題基準」を網羅.
●「新カリキュラム」「タスク・シフト/シェアに伴う業務拡大」に対応.
●近年の血液浄化療法の進歩に合わせて全体的に内容をアップデートしたほか,紙面構成を工夫し,見やすい・わかりやすいテキストとして内容を刷新.

序文

『最新臨床工学講座』の刊行にあたって
 日本臨床工学技士教育施設協議会の「教科書検討委員会」では,全国の臨床工学技士教育養成施設(以下,CE養成施設)で学ぶ学生達が共通して使用できる標準教科書として,2008年から『臨床工学講座』シリーズの刊行を開始しました.シリーズ発足にあたっては,他医療系教育課程で用いられている教科書を参考にしながら,今後の臨床工学技士育成に必要,かつ教育レベルの向上を目的とした教科書作成を目指して検討を重ねました.刊行から15年が経過した現在,本シリーズは多くのCE養成施設で教科書として採用いただき,また国家試験出題の基本図書としても利用されています.
 しかしながらこの間,医学・医療の発展とそれに伴う教育内容の変更により,教科書に求められる内容も変化してきました.そこでこのたび,臨床工学技士国家試験出題基準の改定〔令和3年版および令和7年版(予定)〕,臨床工学技士養成施設カリキュラム等の関係法令改正,タスク・シフト/シェアの推進に伴う業務拡大等に対応するため,『最新臨床工学講座』としてシリーズ全体をリニューアルし,さらなる質の向上・充実を図る運びとなりました.
 新シリーズではその骨子として以下の3点を心がけ,臨床工学技士を目指す学生がモチベーション高く学習でき,教育者が有機的に教育できる内容を目指しました.
 (1)前シリーズ『臨床工学講座』の骨格をベースとして受け継ぐ.
 (2)臨床現場とのつながりをイメージできる記述を増やす.
 (3)紙面イメージを刷新し,図表の使用によるビジュアル化,わかりやすい表現を心がけ,学生の知識定着を助ける.
 医療現場において臨床工学技士に求められる必須な資質を育むための本教科書シリーズの意義を十分にお汲み取りいただき,本講座によって教育された臨床工学技士が社会に大きく羽ばたき,医療の発展の一助として活躍されることを願ってやみません.
 本講座のさらなる充実のために,多くの方々からのご意見,ご叱正を賜れば幸甚です.
 2024年春
 日本臨床工学技士教育施設協議会 教科書検討委員会
 最新臨床工学講座 編集顧問


序
 臨床工学技士養成のための書籍として,2011年1月に臨床工学講座「生体機能代行装置学 血液浄化療法装置」第1版が発行された.その後,血液浄化療法の進歩に伴い,内容の書き換えを行い第2版の発行に至った.第1版の発行以来,臨床工学講座「生体機能代行装置学 血液浄化療法装置」は,臨床工学技士養成のための教科書として広く利用されてきた.以後,医療を取り巻く状況は,年々変化を遂げ,臨床工学技士においては,その業務範囲が拡大してきた.この要因の1つとして,医師の働き方改革を進めるため,これまで医師が行ってきた医療行為の一部を他の医療職種に任せる,または複数の医療職種で分け合うタスク・シフト/シェアの推進がある.2021年5月の「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」の公布を受け,医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアに関する省令改正や通知の発出がなされた.このうち,2021年7月に発出された「臨床工学技士法施行令の一部を改正する政令」のなかで,これまで血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の接続,抜去はシャントに限られていたが,法律改正に伴い,表在化された動脈もしくは表在静脈への接続,除去が加わることとなった.そこで,現在の臨床工学技士の血液浄化療法業務につなげる目的で,これまでの内容,構成を大幅に見直し,今回の最新臨床工学講座としての発行に至った.さらに近年,国内のあらゆる地域で激甚災害が発生しており,医療機関もこれによる被害を受けている.慢性透析療法が必要な患者数は,日本透析医学会統計調査報告書から2021年末で349,700人とされている.広域災害で多くの医療機関の機能が停止してしまうと,数多くの患者の生命を脅かす事態となる.そのような背景から,本書では,災害発生後にも医療機関の機能をできるかぎり維持するための対策と,他の医療機関や関係組織との連携を構築するための内容も加えた.「いつ,どこで,どのような」災害が起こるかは,現在の科学技術をもってしても正確な予測は不可能である.そのため,臨床工学技士として医療に携わるにあたり,本書が事前の災害対策を講じる際の一助になることを期待する.
 今日の人工知能(artificial intelligence:AI)の進歩は目覚ましく,その技術が広く医療に導入されることはいうまでもない.さらに,これまで人が行ってきた仕事をAIやロボットが代替することも予想される.人と積極的にかかわる仕事では,AIやロボットが代替する可能性が低いとされているが,今後の臨床工学技士の業務はいかがであろうか.AIでは,慢性透析療法を受け続ける患者の心理を十分に理解できるとは到底思えない.そのため,臨床工学技士には,患者が安心して血液浄化療法を受けることができるよう,その気持ちを理解し,寄り添える資質と,各種血液浄化療法を安全に提供するための技術力や思考力を向上させるべく日々研鑽する姿勢が,これからも求められるであろう.本書を手にした学生の方々が今後,これらを持ち合わせた臨床工学技士となり,医療の場で活躍されることを切望する.
 最後に,本書は血液浄化療法に携わる臨床工学技士が習得すべき知識を,それぞれの分野で活躍されている方々に執筆いただいた.臨床工学技士国家試験の合格を目指し,本書を利用していただくのはいうまでもないが,臨床工学技士となった後も臨床の場において引き続き活用いただければ幸いである.
 2024年1月
 編者を代表して
 真茅孝志

目次

 「最新臨床工学講座」の刊行にあたって
 序
第1章 血液浄化療法とは
 1 概要
 2 血液浄化の歴史
  1.ダイアライザーの歴史
  2.血液透析膜の歴史
  3.バスキュラーアクセスの歴史
 3 これからの慢性腎不全治療
 4 透析患者の心理と精神症状
  1.サイコネフロロジーにおける臨床工学技士の役割
  2.透析導入前後の精神症状の推移
  3.透析患者におけるおもな精神疾患
  4.緩和ケア,アドバンス・ケア・プランニング
第2章 腎臓・尿路系の構造と機能
 1 腎臓の解剖生理
  1.腎臓の構造
  2.腎臓の機能
 2 尿路系の解剖生理
  1.尿管
  2.膀胱
  3.尿道
  4.蓄尿・排尿の機序
第3章 腎機能検査
 1 尿検査
  1.尿検査の目的
  2.尿の一般的性状
  3.尿定性検査(試験紙法)
  4.化学的検査(尿中グルコース,タンパク定量)
  5.形態学的検査(尿沈渣)
  6.尿検査実施の留意点
 2 血液検査
  1.血液一般検査
  2.生化学検査
  3.凝固線溶系検査
 3 腎機能検査
  1.腎血漿流量検査
  2.糸球体機能検査
  3.尿細管機能検査
第4章 腎疾患と病態生理
 1 腎・泌尿器疾患の症候と病態生理
  1.腎・泌尿器疾患の症候
  2.腎・泌尿器疾患の病態生理
 2 透析導入基準
  1.慢性腎不全
  2.急性腎不全(AKI)
第5章 血液透析の原理と構成
 1 血液透析の原理
  1.拡散と浸透,逆浸透
  2.濾過(限外濾過と精密濾過)
  3.吸着
 2 透析器(ダイアライザ)の性能指標
  1.透析器と透析膜
  2.クリアランス
  3.クリアランスに影響を与える因子
  4.内部濾過
 3 透析量の評価指標
  1.Kt/V(標準化透析量)
  2.除去率
  3.クリアスペース
 4 透析膜の種類と特徴
  1.透析膜に求められる機能
  2.透析膜の種類
 5 血液透析装置および回路構成
 6 透析方法
  1.透析方法と溶質除去特性
  2.深夜透析(オーバーナイト透析)
  3.在宅透析
  4.持続的血液浄化療法
第6章 透析関連装置・薬剤
 1 水処理装置
  1.水道法における基準値
  2.原水から透析用水の作製
 2 透析液の種類と特徴
  1.透析液の歴史
  2.透析液の組成と特徴
  3.副作用・合併症
 3 透析液供給装置
  1.透析液供給装置とは
  2.透析液供給系統
  3.透析液供給装置の機能
  4.透析液供給装置の構成
  5.透析液供給装置の保守・管理
 4 透析用監視装置
  1.透析用監視装置とは
  2.透析用監視装置の機能
  3.透析用監視装置の構成
 5 個人用透析装置
  1.個人用透析装置とは
  2.個人用透析装置の機能
  3.個人用透析装置の構成
  4.透析液作製機構
  5.洗浄部
  6.個人用透析装置の保守・管理
 6 抗凝固薬の種類と特徴
  1.血液凝固機序
  2.種類と特徴,使用方法
  3.HITへの対応
第7章 患者管理
 1 バスキュラーアクセスとその管理
  1.バスキュラーアクセス(VA)とは
  2.VAの種類と特徴
  3.VAの管理方法とトラブル
  4.動脈表在化への穿刺と抜去
 2 糖尿病透析患者
  1.糖尿病透析患者の現状
  2.糖尿病性腎症の透析導入時の問題点
  3.糖尿病の細小血管障害と大血管障害
  4.糖尿病透析患者の合併症
  5.糖尿病透析患者の血糖値管理
 3 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常
  1.骨・ミネラル代謝異常とは
  2.食事管理
  3.投薬処方
 4 高リン血症
  1.高リン血症とは
  2.食事療法
  3.薬物療法
 5 腎性貧血
  1.赤血球産生
  2.腎性貧血とは
  3.食事管理
  4.腎性貧血の治療
  5.ESA低反応性
 6 高血圧
  1.高血圧とは何か
  2.透析患者の高血圧の特徴
  3.ドライウェイト(dry weight:DW)とは
  4.透析患者の高血圧治療
第8章 安全管理
 1 透析機器の安全管理
  1.透析液の安全管理
  2.水質を管理する方法
  3.透析用水の安全管理
 2 透析室の感染対策
  1.感染成立の3要素
  2.基本的な手技
  3.透析の特性
 3 透析中の事故対策
  1.事故対策の基本事項
 4 災害対策
  1.広域災害における血液透析の実態(熊本地震を例に)
第9章 腹膜透析
 1 腹膜透析の歴史
 2 腹膜透析の原理と特徴
 3 腹膜機能検査と効率
  1.腹膜平衡試験
  2.総括物質移動面積係数
 4 透析効率と透析量
  1.週間尿素Kt/V(Kt/V)
  2.週間クレアチニンクリアランス(Ccr)
  3.腹膜透析量の問題点
 5 腹膜透析の治療モード
  1.CAPDの発展的変法
  2.PD+HD併用療法
 6 腹膜透析装置
  1.接続方式
  2.サイクラ
  3.その他のシステム
第10章 その他のアフェレシス療法,腎移植
 1 アフェレシス療法とは
 2 アフェレシス療法の原理,種類,選択,危険性
  1.危険性
 3 血漿交換療法(plasma exchange:PE)
  1.PEの原理
  2.PEの実際
 4 二重濾過血漿分離交換法(double filtration plasmapheresis:DFPP)
  1.DFPPの原理
  2.DFPPの実際
 5 吸着式アフェレシス
  1.血液吸着(hemoadsorption:HA)
  2.血漿吸着(plasma adsorption:PA)
 6 腎移植
  1.腎代替療法

 付録 臨床工学技士国家試験出題基準(生体機能代行装置学)
 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編者略歴】
竹澤真吾【たけさわしんご】
 1979年 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
 1984年 早稲田大学大学院理工学研究科化学工学博士課程修了(工学博士号取得)
 1986年 医療法人社団善仁会横浜第一病院研究部研究室長
 2002年 鈴鹿医療科学大学医用工学部臨床工学科教授
 2007年 九州保健福祉大学保健科学部臨床工学科教授
 2018年 九州保健福祉大学保健科学部学部長
 2020年 九州保健福祉大学生命医科学部生命医科学科教授
 2024年 九州医療科学大学生命医科学部生命医科学科教授(大学名称変更)
     現在に至る

真茅孝志【まかやたかし】
 1993年 久留米大学医学部附属臨床検査専門学校卒業
 1993年 久留米大学病院中央手術部
 2002年 久留米大学病院臨床検査部(所属名変更)
 2006年 博士(医学)学位取得(久留米大学)
 2015年 九州保健福祉大学保健科学部臨床工学科教授
 2018年 純真学園大学保健医療学部医療工学科教授
 2024年 久留米大学医学部医療検査学科教授
     現在に至る