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別冊「医学のあゆみ」
生体システムのレジリエンス 神経-免疫-内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム

定価 5,720円 (本体 5,200円+税10%)
  • 総頁数:104頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2026年10月
  • 注文コード:275150
  • 雑誌コード:20476-10/30

生体を「回復力」から捉え直す!

内容紹介

●レジリエンスは一般に“回復力”や“復元力”と訳され,物理学で用いられてきた概念であるが,近年,医学領域においてもその重要性が注目され,本質を探る研究が急速に進展している
●回復力・修復力,すなわちレジリエンスは,神経系や免疫,多様な臓器において老化に伴って低下する.生体システムの構造や機能が時空間的に変容するため,複数の臓器が連鎖的に影響を受ける“多病状態”に至るとも考えられる
●本書では,生体を包括的に観察することで複雑なメカニズムを解明する“レジリエンス研究の最前線”に触れる

序文

はじめに
 山下俊英
 大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学
 レジリエンス(resilience)とは,一般に“回復力“や“復元力”と訳され,もともとは物理学で用いられてきた概念であるが,心理学やビジネスなど多様な分野でも広く使われている.近年,医学領域においてもその重要性が注目され,本質を探る研究が急速に進展している.
 たとえば,老化に伴う回復力・修復力の低下は,ほぼすべての臓器で共通して認められる現象である.これは老化関連疾患の発症や悪化を促す主要な要因でありながら,その詳細なメカニズムはいまだ不明な点が多く残されている.神経組織に目を向けると,成人であっても内在的な修復能力を備えている一方,加齢とともにその力は衰え,疾患に対する脆弱性が増していく.こうした現象は,加齢によって生体システム全体の回復力・修復力―すなわちレジリエンス―が低下することに起因すると考えられる.
 このレジリエンスの低下は神経系に限らず,免疫,心臓,腎臓など多様な臓器に及ぶ.老化や各種疾患は,生体システムの構造や機能を時空間的に変容させ,臓器間の精緻な連関を揺るがす.その結果,恒常性が破綻し,複数の臓器が連鎖的に影響を受ける“多病状態”へと至るとも考えられる.
 本書では,この分野を切り拓いてきた第一線の研究者に,生体システムのレジリエンス研究の最前線を紹介していただく.本分野の研究は,生体を包括的に観察し,その複雑なメカニズムを解明することを目的としており,最新イメージングなど多角的かつ革新的な技術を駆使して進められている.さらに,生まれながらに備わる回復メカニズムを制御し,新たな治療法や疾患予防へとつなげることで,新規の治療戦略の開発や,さまざまな疾患の予防・治療への応用が期待される,非常にダイナミックで将来性豊かな分野である.レジリエンス研究は,健康長寿社会を支える鍵を握る,未来志向の学問である.

目次

 はじめに(山下俊英)
1.ゲートウェイ反射による慢性炎症性疾患の病態制御
 (村上 薫・他)
 KeyWords 中枢神経系(CNS),ゲートウェイ反射,IL-6アンプ
2.脳梗塞と修復性ミクログリア
 (猪狩孝輝・七田 崇)
 KeyWords 脳梗塞,ミクログリア,貪食,修復性因子,細胞外小胞(EVs)
3.神経回路の修復における末梢臓器由来因子の役割
 (米津好乃・他)
 KeyWords 中枢-末梢連関,血管,液性因子,加齢
4.脊髄損傷における神経-臓器-免疫連関の病態
 (上野将紀)
 KeyWords 脊髄損傷,自律神経,生体恒常性,免疫,神経修復
5.多病における免疫系・神経系による臓器間連携機序
 (真鍋一郎)
 KeyWords 慢性炎症,心不全,慢性腎臓病,心腎連関,自然免疫記憶
6.交感神経がつかさどるリンパ球動態の分子基盤と生理的・病理的意義
 (鈴木一博)
 KeyWords 交感神経,リンパ球動態,獲得免疫応答,日内変動,臨床応用
7.臓器間神経ネットワークによる糖代謝調節機構
 (木幡将人・片桐秀樹)
 KeyWords 臓器間ネットワーク,糖代謝,恒常性,自律神経,肥満
8.臓器インタラクトミクスの可視化
 (田井中一貴)
 KeyWords 臓器インタラクトミクス,組織透明化・3Dイメージング,神経回路マッピング
9.神経-免疫連関による循環・呼吸系恒常性の維持とその破綻─心肺-骨髄軸の再構築
 (藤生克仁)
 KeyWords 内受容感覚,心臓求心神経,骨髄ニッチ,訓練免疫(trained immunity),クローン性造血
10.ミクログリアがもたらす脳のレジリエンスと破綻
 (橋本明香里・他)
 KeyWords ミクログリア,血液脳関門,シナプス,アルツハイマー病(AD)
11.神経変性疾患における生体システム連関─アルツハイマー病を中心に
 (富田泰輔)
 KeyWords アルツハイマー病(AD),血液バイオマーカー,血液脳関門(BBB),グリア細胞,炎症
12.神経系疾患における末梢由来免疫細胞
 (伊藤美菜子)
 KeyWords 免疫細胞,アルツハイマー病(AD),脳梗塞,自閉スペクトラム症(ASD)
13.臓器関連の包括的理解に基づく認知症関連疾患の克服に向けて
 (髙橋良輔・山門穂高)
 KeyWords 認知症,超早期診断,アミロイドβ(Aβ),αシヌクレイン,単一細胞RNAシークエンス解析
14.アルツハイマー病と脂質代謝の連関
 (川出野絵・山中宏二)
 KeyWords アルツハイマー病(AD),脂質代謝,肥満
15.神経障害性疼痛に対する生体レジリエンス機構
 (津田 誠)
 KeyWords 神経障害性疼痛,脊髄後角,ミクログリア,アストロサイト
16.パーキンソン病における脳-臓器連関─脳-腸連関を中心に
 (竹重遥香・服部信孝)
 KeyWords パーキンソン病(PD),脳-臓器連関,腸内細菌叢移植療法(FMT)

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山下俊英 編