やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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別冊「医学のあゆみ」
医師の働き方改革――現場でどう実装されているのか,理念と医療現場のリアル

定価 5,720円 (本体 5,200円+税10%)
  • 総頁数:120頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2026年6月
  • 注文コード:275090
  • 雑誌コード:20476-6/25

持続可能な医療体制の維持に向けて,「働き方改革」に挑む.

内容紹介

●医師の時間外労働上限規制が2024年4月に施行された
●健康的な労働環境を整備することは,医療の質と安全,持続可能な医療体制を維持するうえで重要であることは論を待たないが,教育・研究・診療の3つの使命を担う医学部・大学病院には多くの課題を残すこととなり,正解はいまだ見出せていない
●本書では,当直・オンコール体制,兼業・外勤,学会・研修会への参加と自己研鑽支援,研修医制度・専門医制度への影響など,エキスパートたちが先進的な取り組みをリアルに紹介する

序文

はじめに
 相良博典
 昭和医科大学病院 病院長
 2024年4月より医師の時間外労働の上限規制(医師の働き方改革)が施行されました.医師が健康に働き続けることのできる環境を整備することは,医師本人にとってはもとより,患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保すると同時に,持続可能な医療提供体制を維持していくうえで重要であることは論を俟ちません.しかし,国民の健康と福祉を担う医療者を育成する全国の医学部・大学病院が,これら人材の教育に加え,未来の種蒔きたる研究を強力に推進しつつ,診療体制のいっそうの充実を図る使命を全うするには多くの課題があります.課題先進国たるわが国において,これらの課題に,如何に筋道をつけ,安心安全な社会の幸福を実現していけるのかについては,正解を見出せている状況にはありません.
 しかし,そのなかにあってコロナ禍という試練が浮かび上がらせた日本の医療の強靱さと脆弱さなどを一例として,何を残すべきか,次代に引き継ぐべき考え方は何であるのかを振り返り,弱さを強みに変えていく議論を起こすことで,より良い方向性を見出していくことができたと思います.それは,わが国の医療の将来を左右する国民的議論でもあります.
 医師の働き方改革が始まって見えてきた課題が,全国医学部長病院長会議(AJMC)が行った医師の働き方改革に関するアンケート調査に見てとれます.前回に比べてA水準は2.8%増加していたという結果や,令和6年4月時点と今回の調査結果を比較すると,週平均総労働時間が60時間以上の医師の割合は22.4%から24.7%に2.3%増加していたという結果から,まだまだ課題が多く残っているのが現状です.
 これらの多くの課題に関して,大学が本来あるべき姿を取り戻していくために,さらに何を進めていくべきか,さまざまな問題に対して,現状を踏まえた先進的な取り組みを中心に各病院のエキスパートから論説していただきます.
 読者の皆様方の一助となれば幸いです.

目次

 はじめに(相良博典)
1.働き方改革の現状と課題─全国医学部長病院長会議のアンケート結果から
 (大屋祐輔)
 KeyWords 働き方改革,特定水準,兼業,タスクシフト,ICT
2.医師の働き方改革前後の取り組み─勤務環境改善のピットフォール
 (小島博己)
 KeyWords 医師の働き方改革,少子高齢化,タスク・シフト/シェア
3.時間管理の導入
 (桑鶴良平)
 KeyWords WEB勤務管理システム,勤務,自己研鑽,外勤,シフト制管理
4.変形労働時間制と裁量労働制の仕組みと違い
 (東田修二)
 KeyWords 変形労働時間制,裁量労働制,一般労働時間制,時間外労働,みなし労働時間
5.医師の働き方改革における宿日直許可取得の意味とは
 (髙橋慶子・平本照雄・山岡邦宏)
 KeyWords 医師の働き方改革,宿日直許可,長時間労働
6.オンコール体制の現状と課題
 (平松祐司)
 KeyWords オンコール体制,労働時間該当性,労務管理
7.兼業(外勤)先の取り扱い
 (齋藤 繁)
 KeyWords 勤務時間,労働基準法,兼業
8.臨床研修医の勤務体制の見直しの是非
 (森 英毅・金井隆典)
 KeyWords 働き方改革,診療参加型研修,教育の質の格差,タスク・シフト/シェア
9.病院全体で推進するタスクシフト・タスクシェア
 (朝倉啓介,福永興壱,松本守雄)
 KeyWords タスクシフト,タスクシェア,医師事務作業補助者,医療DX,ワーキンググループ(WG)
10.追加的健康確保措置への対応
 (前田嘉信)
 KeyWords 追加的健康確保措置,勤務間インターバル,代償休息,面接指導
11.医師の働き方改革における自己研鑽支援の現状と今後の展望─専門職としての継続教育の位置づけと国際比較からの示唆
 (伊野美幸・望月 篤)
 KeyWords 自己研鑽,プロフェッショナリズム,働き方改革
12.医師の有給休暇の取り扱い
 (林 篤志)
 KeyWords 有給休暇,育児支援,就業規則
13.ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の推進と課題
 (林 由起子)
 KeyWords 働き方改革,ライフイベント,性別役割分担意識,意識改革
14.学外での学会,講演会,研修会等への参加の取り扱い
 (羽渕友則)
 KeyWords 学会参加,研修会,自己研鑽,医師の働き方改革
15.労働時間数の把握と時間外労働規制区分の管理体制
 (眞庭謙昌)
 KeyWords 医師,就労時間,時間外労働,区分管理,勤務データ統合,勤務間インターバル
16.特定機能病院における研究・卒前卒後教育・臨床の課題─医師の働き方改革の実装段階で考えるべきこと
 (平畑昌宏・河野博隆)
 KeyWords 特定機能病院,医師の働き方改革,JACME,医師国家試験
17.地域医療構想と医師の働き方改革─2040年に向けて
 (冨田善彦)
 KeyWords 地域医療構想,医師偏在,女性医師,Z世代
18.専門医制度への影響と課題
 (古川博之)
 KeyWords 研修医,専門医制度,過労死,メンタルヘルス,C-1水準
19.医師業務体制の本来のあるべき姿とは─働き方改革の本質を問う
 (門脇則光)
 KeyWords 麻酔科医アシスタント,制度的逆インセンティブ,子育て医師活躍支援制度

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相良博典 編