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261巻5号 2017年4月29日
「医学のあゆみ」第5土曜特集第261巻5号 乳癌のすべて
はじめに
第5土曜特集 乳癌のすべて はじめに 中村清吾
  1900年代の初頭,癌はリンパ節転移を経て全身に広がるという肉眼所見に基づく概念のもと,ハルステッド(Halsted)は乳腺を大胸筋や小胸筋とともに切除し,さらには腋窩のリンパ節を徹底的に切除,すなわち郭清を標準治療として提唱した(第1の波).
 しかし,この概念は顕微鏡の導入とともに一変する.すなわち,1cmの乳癌でも10億から100億の細胞の塊であることが観察されるようになり,癌はかなり初期でも全身病として捉え,手術で完全に切除できたとしても,かなりの人に再発予防のための薬物療法が必要であるというパラダイムシフトが起こった.この概念は乳癌領域が先陣を切り,1980年前後にFisherらが大規模ランダム化比較試験を行うことにより,早期乳癌に対する乳房温存療法の正当性を科学的なエビデンスをもって証明した.
 また乳房温存療法に加えて,2000年前後には,リンパ浮腫などの合併症を引き起こす懸念のある腋窩郭清を防ぐために,センチネルリンパ節生検が標準治療として登場してきた.本法は,リンパ節に転移を認めなければその先のリンパ節には転移がないものとみなし,郭清を省略するという手技である.この手技により,郭清手術は激減した.とくに現在は,たとえセンチネルリンパ節に転移を認めても,しかるべき薬物療法や放射線治療を行うのであれば,腋窩郭清を省略するという方向にある(第2の波).
 さらに近年,細胞内の増殖機構が分子生物学的に明らかになるにつれ,そのメカニズムに基づく創薬や治療効果予測検査が開発されつつある.とくに,2015年1月,当時の米国オバマ大統領が“Precision Medicine Iniciative”という旗頭のもとに,200億円を超える予算を投じたプロジェクトの展開を打ち出した.すなわち,次世代シークエンサーとスーパーコンピュータの処理能力が急速に進歩したことにより,大規模なゲノム情報をもとにした各種疾病の予防や,癌の性質(個性)をさらに詳細に調べ,それに基づくより効果的な薬剤を選択するという方向性が明確に示された(第3の波).
 本特集では,現在訪れつつある第3の波を,各分野のトップランナーの先生方にたいへんわかりやすく概説していただいた.乳癌診療に携わるすべての方々の診療,研究,教育の一助となれば幸甚である.
目 次
【疫学】
乳がんの疫学:最近の動向……岩崎基 詳細
【検診の最新情報】
乳がん検診における超音波検査の意義……鈴木昭彦 詳細
乳癌ハイリスクグループに対するMRIスクリーニングの意義……戸崎光宏 詳細
検診におけるマンモグラフィおよび超音波読影のポイント……東野英利子 詳細
【診断・治療の進歩】
乳癌画像診断のあらたな潮流──高濃度乳房に対する対策……明石定子 詳細
整容性を考慮した乳房温存術──オンコプラスティックサージャリー……小川朋子 詳細
乳癌の腋窩マネージメント──郭清省略を中心に……武井寛幸 詳細
DCISのグレード分類と低リスクDCISに対する非手術臨床試験……黒住献・黒住昌史 詳細
DCISに対するあらたな治療戦略……四元大輔・相良安昭 詳細
術前化学療法の評価──非手術へ向けて……林直輝 詳細
Liquid biopsy──再発巣生検は不要となるか……上野貴之 詳細
乳がん領域におけるマイクロRNAの臨床応用……下村昭彦 詳細
BRCA遺伝子の基礎と合成致死療法の開発に向けて……三木義男 詳細
HBOCに対する対策──とくにリスク低減手術を中心に……竹井淳子・山内英子 詳細
乳癌領域における分子イメージングの現状……植松孝悦 詳細
閉経前術後内分泌療法の最新動向……堀口淳 詳細
乳がんホルモン治療効果マーカーとしてのCYP2D6ファーマコゲノミクス研究──臨床的意義を解明するための取組み……前佛均 詳細
臨床医のためのホルモン療法耐性の機序──アロマターゼ阻害薬(AI)を中心に……坪井洸樹・林慎一 詳細
閉経後エストロゲン受容体陽性転移乳癌の治療戦略──逐次内分泌療法と分子標的療法の併用……岩瀬弘敬 詳細
治療戦略を考えるうえでのLuminal/HER2乳癌の基礎……木村聖美・有馬好美 詳細
エストロゲン受容体陽性乳癌の基礎と臨床……山下啓子 詳細
再発luminal type乳癌に対するあらたな治療戦略……立花和之進・他 詳細
乳癌のheterogeneity……秋山太 詳細
TNBCの病理――組織型からみた亜型分類と治療……増田しのぶ 詳細
TNBCの亜分類に基づく治療戦略……石川孝 詳細
乳癌に対する血管新生阻害療法の現状と将来展望──乳癌でも新規の血管新生阻害薬はベバシズマブを超えられるか……荒木和浩・三好康雄 詳細
HER2陽性乳癌の病理──判定基準の変遷と将来展望……山岸陽二・津田均 詳細
再発HER2陽性乳癌に対する治療戦略……吉川三緒・神野浩光 詳細
経口FU剤のポジショニング……田正泰・戸井雅和 詳細
乳癌患者のbone health──骨修飾薬による骨転移,骨粗鬆症の治療戦略……田口哲也 詳細
制吐療法のガイドライン──制吐剤の正しい使い方……佐伯俊昭 詳細
乳癌に対する放射線治療――最近の話題……加賀美芳和 詳細
【あらたな研究・診療体制】
NCD-乳癌登録データを用いた臨床研究と今後の展望……新倉直樹 詳細
乳癌診療におけるquality indicator──医療の質をどう測る……佐々木政興・向井博文 詳細
乳腺専門医の現状と新制度への対応……井本滋 詳細
乳癌診療体制──施設認定の観点からみた欧米の現状とわが国の動向……川端英孝・大野真司 詳細
乳がんのサバイバーシップ――がんとの共生社会をめざして……桜井なおみ 詳細
JBCRGのあらたな取組み──JBCRGの設立と経緯および臨床試験への取組み……大野真司 詳細
JCOGでのあらたな取組み……岩田広治 詳細
乳癌領域におけるプレシジョン・メディシンの新展開……永橋昌幸・他 詳細
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261巻5号 2017年4月29日
週刊(B5判,244頁)
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