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256巻5号 2016年1月30日
第5土曜特集
GPCR研究の最前線2016
はじめに
G蛋白質共役受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)は,800以上の遺伝子からなるゲノム最大のファミリーを形成する.細胞外環境を認識して細胞の機能・運命を制御する,あらゆる細胞機能にかかわるシグナル分子であるといっても過言ではない.GPCRの分子異常は多くの疾患の原因となる一方,疾患解析はGPCRの生理的機能の解明に貢献してきた.また,歴史上人類が手にした薬剤の約40%はGPCR標的薬であり,今後も創薬上重要な分子群であり続けると考えられる.
著しい多様性の一方,GPCRにおいて細胞膜を7回貫通する共通構造と,アゴニスト結合と連動した高次構造の変化を共役するG蛋白質の活性化へと変換するメカニズムは,進化に耐えて普遍的に保存されている.
GPCR研究は,研究手法自体の進歩とともに発展してきた.最近の分子間相互作用の時間,空間的解析手法の進歩とともにシグナルの分子メカニズムの詳細が解明されてきた.GPCR研究のノーベル賞受賞を決定づけたのは構造解析の進歩である.なかでも重要なエポックはGPCR-G蛋白質複合体の構造解明である.GPCRとGTP/GDPを結合しないG蛋白質というそれぞれ不安定な分子の複合体解析には,高次構造を特異的に認識する抗体を利用した安定化手法が大きく貢献した.この複合体は,GPCR視点ではアゴニストに対して高親和性を示す,いわば静的構造である.一方で,GPCRによるG蛋白質の活性化の動的メカニズム解明の最終解答はGPCR-G蛋白質構造のダイナミックな変化をリアルタイムで観察する手法のさらなる進歩をまたなければならないのかもしれない.
GPCRの分子メカニズム解明は,GPCRを標的とする創薬上の新展開を生んでいる.古典的なアゴニスト,アンタゴニスト,インバースアゴニストによる制御から特異的制御が期待されるバイアスシグナル,アロステリック調節,薬理学的シャペロンなどへと展開している.
本特集は,GPCR研究の最前線2016と題し,GPCR研究の最新の方向性とトピックスを紹介することをめざした.貴重な時間を割いてご執筆くださった研究者・友人の方々に深謝したい.進歩を続けている本領域の研究を展望し,生理的な,あるいは病態にかかわる分子機構の解明と今後の創薬に結実する制御方法開発の新展開を期待しつつ,あらたにGPCR研究にかかわろうとする若い方々にとっての刺激となればたいへん幸いである.
2016年1月 飯利太朗
目 次
GPCR研究の現在と未来
■
G protein-coupled receptors in the new world……Mark von Zastrow
■
The past, present, and future of GPCR research……Jurgen Wess
総論:GPCR研究のあらたな基盤と視点
【構造・機能解析の進歩】
■
GPCRの構造解析からめざすもの……小林拓也
■
GPCRの機能構造とその形成……山下敦子
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オーファンGPCRのリガンド同定と新規GPCR活性化検出法……井上飛鳥・青木淳賢
■
G蛋白質共役型受容体の過渡的なダイマー形成――1分子観察法による研究……笠井倫志
■
薬理学的シャペロン──小胞体蓄積GPCRを形質膜へ発現させる特異的リガンド……安田大恭・中村元直
【バイアスシグナル,アロステリック調節】
■
バイアスシグナルとカルシウム感知受容体……
飯利太朗
・
槙田紀子
■
バイアス型シグナル……黒瀬等
■
代謝型グルタミン酸受容体のアロステリックモジュレーター――精神疾患治療薬への応用……茶木茂之・舩越竹雄
■
βアドレナリン受容体の脱感作制御──ニトロシル化のターゲットとしてのGRK2……
槙田紀子
・
飯利太朗
各論:GPCR機能の新展開
【癌・増殖・発生】
■
WntシグナルにおけるFrizzled受容体の活性化機構……山本英樹・菊池章
■
多価型CXCR4リガンドの創製と癌細胞イメージング・検出……野村渉・玉村啓和
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Gq変異とメラノーマ……門野岳史
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Gβ変異とがん……依田成玄
【感覚】
■
嗅覚受容体と鋤鼻受容体……伊原さよ子・東原和成
■
味覚受容体……實松敬介・二ノ宮裕三
■
桿体視物質・錐体視物質──桿体視と錐体視の機能的差異をもたらすGPCR……河村悟・橘木修志
【循環器】
■
βアドレナリン受容体……黒瀬等
■
アンジオテンシンII受容体……
赤澤宏
・
小室一成
■
エンドセリン受容体……栗原裕基
■
プロテイナーゼ活性化型受容体の血管生物学……平野勝也
【内分泌】
■
バソプレシンV2受容体──変異による疾患と治療の展望……
槙田紀子
■
TSH受容体……西原永潤・永山雄二
■
25←29.PTH受容体とクロストーク……江面陽一・他
■
グルコース感知受容体によるインスリン分泌の制御……小島至・中川祐子
【代謝】
■
グレリン受容体――リガンド非依存性の恒常的活性化とその異常……児島将康・海谷啓之
■
インクレチン受容体……山田祐一郎
■
β3アドレナリン受容体――生理・病態との関連と創薬への展望……
戸邉一之
・仙田聡子
■
メラノコルチン4型受容体(MC4R)……田中都・菅波孝祥
■
食事性栄養センサー脂肪酸受容体……木村郁夫・粕渕真由
■
GPR40の生理機能とGPR40アゴニストの薬理作用……伊藤亮
【免疫・炎症】
■
ロイコトリエン受容体……市木貴子・他
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プロスタノイド受容体を介した免疫・炎症応答亢進の分子機構……告恭史郎・杉本幸彦
■
ケモカイン受容体……義江修
■
スフィンゴシン1-リン酸受容体……平田多佳子
■
炎症性疾患とプロトン感知性受容体……岡島史和
【精神・神経・睡眠・摂食】
■
オレキシン受容体……
櫻井武
■
オキシトシン受容体──その社会性の障害との関連……ベナー聖子・山末英典
■
摂食調節ペプチド受容体……河村菜実子・
乾明夫
■
メラニン凝集ホルモン受容体──最近の基礎研究における話題……斎藤祐見子
■
情動調節における各種オピオイド受容体の役割……斎藤顕宜・山田光彦
■
生体リズムを調節するGPCR……土居雅夫・岡村均
■
線条体D
2
受容体とポジティブ錯覚……山田真希子
256巻5号 2016年1月30日
週刊(B5判,292頁)
定価 6,380円(本体 5,800円+税10%)
注文コード:286490
雑誌コード:20475-1/30
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