やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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漢方・中医学講座−漢方診療におけるQ&A

入江祥史 編著
定価 6,050円(本体 5,500円+税10%)
  • 総頁数:272頁 / 2色
  • 判型:A5判
  • 発行年月:2011年2月
  • ISBN978-4-263-73133-8
  • 注文コード:731330

内容紹介

教科書にはこう書いてあるけれども,実際のところはどうなのか? 実際にはとても重要な事柄なのに教科書には載っていないのはなぜか? 漢方診療の理論,診察・治療,経過観察,薬局での漢方,薬(生薬),医院経営,行政,教育・研修,海外事情など,多岐にわたる質問への答えを明示!

目次

Q 漢方は用語,理論ともなじみにくい,中医学はなおさら思弁的すぎてこじつけに見える.本当のところはどうなのか?古い理論には間違いもあろう.現代医学を取り入れないのか?
Q 気とは結局何か?実在するのか?机上の空論ではないのか?気にはいろんな概念があるのか?
Q 気通じざればすなわち痛む:では理気すれば痛みは取れるのか?
Q 気虚があるのに気実がないのはなぜか?
Q 血は血液ではないのか?血虚と貧血はどう違うか?
Q 水は水分とは違うのか?また,水と津液とは違うのか?
Q 理気と行気.活血と行血.表現がなぜまちまちなのか.どちらが本当?
Q 五臓六腑で,なぜ臓器が5つで腑は6つなのか?臓腑は表裏をなすというが,腑がひとつ余るのか?
Q 肝は眼に,心は舌に,……腎は耳に開竅するというのは本当か?
Q 肝も心も精神状態に関連するが,どう違うのか?
Q 脾はなぜ現在の消化機能にも相当するのか?
Q 肺はなぜ皮膚機能を含むのか?
Q 五味のひとつ鹹は塩でないのはなぜか?
Q 小腸が水穀を分別して糞便と尿に分けるとはおかしいではないか?
Q 五行論で,肝の病が心に,心の病が脾に……であれば,結局どの臓を治しても治療効果がすべての臓に巡り巡って及ぶので,よいのではないか?
Q 陰陽とは結局なにか?
Q 虚実を判別すると言われるが,虚と実はどこが違うのか?何を根拠に?
Q 虚実は漢方と中医学とでどこが違うのか?なぜ漢方では実=体力がある,なのに中医学では邪気実,と違うのか.虚は同じか?
Q 陰・虚と陰虚は違う?虚寒証とは,陽虚による寒証なのか?体質が虚で寒いのか?
Q 熱というが,高熱ではない患者もいる.寒というが,それ程冷えていない患者もいる.何か変では?
Q 寒が極まって熱に化すとはインチキではないか,熱が極まったらどうなるのか?
Q  『素問』では,季節,時刻などを守って治療すべしとある.どこまで守るべきか?
Q 六経弁証では,寒邪を外感して太陽病となったあと,なぜ陽明病では熱化するのか.その後の陰病期では再度寒化するのか?
Q 汗吐下法は分かるが,和法とは何か?
Q  『傷寒論』では症状の変遷に日の記載があるが,あれは事実とは違うのではないか?
Q 病邪が項から入るというが何故?
Q 水毒では口渇がするのに,水を飲むと吐くのはなぜか?
Q 方証相対?えっ!薬と証が一致しているのか?
Q 漢方薬が体質に合っているとか合わないとか言うが,その根拠は?
Q 合うと思われる漢方薬を投与しても全く効かない患者がいるが,どういうことか?
Q 冷え症(性)の正体は?冷えのぼせの実態は?温度が実際に違う?
Q 画像診断は望診に入れてよいか?聴診は聞診にはいるか?血液検査の結果は四診のどれに入る?病理組織診断なども参考になるのか?こじつけではないのか?
Q 腹診の根拠は?解剖学的に説明がつくのか?
Q 腹診で医師の立つ位置は患者の左右どちらが正しい?
Q 腹筋運動で腹力UPするか.するならば元々の証と変わってくるがそれでもよいのか?運動で鍛えた腹筋と,腹直筋攣急の区別は?
Q 腹診は強く押せば何でも「圧痛陽性」になりはしないか?
Q 臍傍圧痛は右が大黄牡丹皮湯,左なら桃核承気湯や桂枝茯苓丸,というのは本当?臍傍圧痛は左が多い?
Q 経穴と腹部の圧痛点には関係があるのか?
Q 振水音は飲み物を摂った後で陽性になりやすいか?
Q 卵巣嚢腫や腹部大動脈瘤,胆石などがある患者の腹診はどうするのか?
Q 脈診はどの程度正確なのか,(医師間で)再現性があるのか?
Q 脈診に腕枕を使うべきか,医師が患者の手を把持すべきか.患者の腕はどの高さがよい?患者の腕は伸ばす?曲げる?臥位でやる脈診は?
Q 走ってきた患者に脈診すると意味があるのか?
Q 痩せた人の脈は浮,太った人は沈,になるはず.これも証と捉えるのか,肥満度合いを割り引いて考えるのか?小児の脈診はどうするのか?
Q 手を切断した人,腎の透析中で腕にループを作っている人の脈診はどうする?腹部の手術をした人の腹診はどうする?胃切除後の患者に胃内停水はないのか?
Q 舌苔とは何か?
Q 問診,望診,腹診ではお血だが,舌下静脈怒張していないこともあるか?
Q 多くの患者に歯痕がみられる.これは水毒(水滞・津液過多)の患者が多いと言うことなのか?
Q 腹診,脈診,舌診で,“時々刻々と変わるのは脈診“,“一番変化しにくい(所見として安定してとれる)のは腹診”,で正しいか.朝と夜とでは違う証になるのか?
Q 訴えと脈診,舌診の結果が合わないときはどうするか?
Q 現代医学の病名を弁証の参考にしないのか?
Q 漢方薬は長期的に飲むものだと思うが,効果発現までどれくらいかかるのか?
Q 初めの処方の安全な出し方は?
Q 漢方エキス剤は2つ以上を混ぜて処方してもよい?小柴胡湯合半夏厚朴湯が柴朴湯なら,前者2つのエキスを処方すればよいと思うが,駄目か?
Q 漢方薬は味も効果のうちと言うが,カプセル剤や錠剤では効果が落ちないのか?
Q 漢方患者は不定愁訴が多い.漢方の効果は実はプラセボ程度ではないのか?
Q 幻肢痛にはどう対処するのか?
Q 漢方薬は経口投与とある.胃切除,胃瘻造設した患者にも漢方治療はできるか?大建中湯を注腸したり,五苓散を坐薬で用いたりする医師がいると聞くが,効果は?そんなことができるのか?
Q 漢方治療はいつまで続けるのか?月経痛,冷え症(性)の人にとっては漢方は対症療法ではないか?
Q 黄連解毒湯や白虎加人参湯を使いすぎると冷えるというが本当か?大げさではないか?
Q 類似処方の鑑別について.十全大補湯と人参養栄湯は,中身が若干違うが適応症は全く同じ.本当に同じか?あるいは,実は違いが無視できる程度なのか?
Q 類似処方の鑑別について.皮膚疾患の治療における十味敗毒湯,消風散,荊芥連翹湯の使い分けが難しいが,どうすればよいのか?
Q 類似処方の鑑別について.例えば葛根湯と麻黄湯は体温何度で線をひく?
Q エキスは同じ名前でもメーカーによって中身が異なるのは本当か?エキスは同じ名前でもメーカーによって適応症,服用量などが異なるがなぜか?
Q あるメーカーは蒼朮,他者は白朮を良く使うが,違いは?
Q 桂枝茯苓丸は月経痛などの痛みに効くと言うが,駆お血剤ならどれも慢性疼痛に効くのか?
Q 補気剤には気が含まれているのか?補血剤には血が含まれているのか?現代医学的作用は?理気剤・活血剤の現代医学的作用は?
Q 補剤が邪に勢いを与えてしまうことはないのか.補剤でがん治療をすると,がんに栄養を与えてしまうことはないのか?
Q 滋陰剤が血糖を下げるといわれるが,陰とホルモンの関係は?補腎・補陰剤の代表・八味丸は「漢方のホルモン剤」といわれるが,ホルモン様作用があるのか?
Q 地黄は胃に触るのか.なぜか.蒲柳の質に当帰芍薬散,というが,胃弱で飲めない場合が却って多いのでは?
Q 頭痛を治す川きゅうで却って頭痛がする患者が結構いる,なぜか?
Q 五苓散証は湿(低気圧など)が接近すると分かるのはなぜ?
Q 古典に出てくる名医の口訣は本当に役に立つのか?
Q 問診でやたらと訴えが多い患者は加味逍遙散というのは正しいか?
Q 半夏厚朴湯,香蘇散,加味逍遙散,柴胡加竜骨牡蛎湯,桂枝加竜骨牡蛎湯,甘麦大棗湯など,精神神経系の処方の使い分けはどうすればよいか?
Q 小児の服用量の決め方は?
Q 乳幼児にどうやって薬を飲ませるのか?オブラートに包んでよいか.アイスやチョコレートに混ぜてよいか?
Q 漢方薬は通常の薬のようにdose-dependentに効果を発揮するものではないと言うが本当か?
Q 漢方薬は食前に服用するのか,現代薬と同じように食後に服用するのか?
Q エキス剤をお湯に溶かすとよいというが,本当か?そのまま水で飲むのと何が異なるのか?
Q 漢方薬は体上部に効かせるなら食後に,体下部に効かせるなら食前に服用すると聞いたが,本当か?根拠は?
Q 温熱薬は温服,寒涼薬は冷服,に意味はあるか?
Q 妊娠中,授乳中に飲んではいけない漢方薬はあるか?妊婦に附子剤は使えるか?小児に附子剤は使えるか?
Q 不妊症患者がやっと妊娠した.流産しないよう治療継続希望,しかし妊娠中は薬は危険という.どうする?
Q 乳児への漢方薬の経母乳投与の根拠は?これは医療として認められるのか?
Q 漢方エキスを入浴剤として処方することはできるか?
Q エキス剤から煎じ薬に切り替えるのは,どんなとき?(その逆も)
Q 煎じとエキスは結局どう違うのか?
Q 甘草は甘いが,血糖を下げるのか上げるのか?他に血糖を上下する生薬はあるのか.糖尿病のコントロールに用いたり,避けなければならない漢方薬は?
Q 甘草による偽アルドステロン症はどれくらいの頻度か.甘草1日5gを出しているが何ともない.カンゾウの副作用を言いすぎではないか.注意の少ない附子のほうがよほど危険ではないのか?
Q 黄ごんの副作用はどんなもの?頻度は?
Q 柴胡剤で間質性肺炎を治療しているが,治療効果なのか悪化なのか分からないときはどうするのか?
Q 麻黄剤は高血圧に禁忌とあるが,そんなに交感神経刺激作用は強いのか?麻黄剤は尿閉,不眠,心臓疾患の人に使えるか?
Q 防風通聖散を痩せ薬として使っているが,この使い方は正しいのか?
Q 大黄剤はどう使い分ければよい?承気湯類は便秘の薬か?単なる便秘なら現代薬でよい?
Q 大黄は加熱で瀉下作用が落ちるのなら,エキスを加熱しても同様か?
Q 加味逍遙散は便秘に効くが,瀉下剤や潤腸剤は入っていない.何が効いているのか?
Q 漢方薬の作用に腸内細菌が絡んでいるのなら,抗生物質を飲むと漢方薬の効き目は変わるか?
Q 漢方エキス製剤には添加物が用いられているそうだが,乳糖不耐症にエキスは使えるか?穀物アレルギーの方にエキスは使えるか?
Q 漢方薬にはEBMがないから,漢方治療は経験にすぎないというのは本当か?
Q 現代薬(とくに消炎鎮痛剤NSAIDsやタミフルなど)と漢方薬の併用は大丈夫か?
Q 和漢薬は漢方薬と違うものか?それから中医薬,中成薬とは何?
Q 薬物の性味,帰経とは何か?漢方薬の味と体質に関係はあるのか.黒い薬は(五行で)腎に入り,赤い薬は心に入る?これはこじつけではないか?
Q 葛根は辛涼解表剤に区分されるが,『漢薬の臨床応用』には平性と書いてある.なぜ辛涼解表になるのか?
Q  ○○湯,○○丸,○○飲(飲子),○○煎,○○丹,○○元,○○料,などは剤形を表すものか?エキス剤はみな同じ形ではないか?
Q 桂枝茯苓丸は活血化おの薬なのに,なぜ桃仁牡丹皮丸ではないのか,人参湯は,なぜ乾姜湯でないのか.八味丸,八味丸料,八味地黄丸,八味地黄丸料はそれぞれどう違うのか?
Q メーカーによって同じ名称のエキス剤に効果の違いはあるのか?薬局から「A社葛根湯は置いていません,B社のものしかありません」と言われたらどうするか?
Q なぜエキスには『傷寒論』処方はあっても温病処方がないのか?
Q 構成生薬に矛盾はないか?例えば半夏瀉心湯は寒の黄連に温の乾姜が配合されている,など.
Q 生薬資源は枯渇するといわれているがどうなのか?カンゾウ(甘草)やマオウ(麻黄)は中国で輸出規制されているのは本当か?漢方治療ができなくなる?
Q 漢方薬の原料は輸入に頼っている.国産はできないのか?中国産の生薬や漢方製剤は大丈夫か?漢方薬の品質保持はどうしているのか?
Q 麻黄は覚せい剤ではないのか?麻黄の使用は違法ではないのか?
Q サプリメントも天然物から作られる.漢方薬も天然物から作られる.何が違うのか?
Q なぜ単離された化合物が薬にならないのか?生薬はなぜ混合して使うのか.1種類ではだめか?漢方薬の複合処方の意味をこそ研究すべきでは?
Q 漢方診療に資格はあるか?漢方専門医にはメリットがあるか?漢方の診療科標榜が認められたが,診療所開設時に,「漢方診療」と申請に書くのか?
Q 漢方薬は安価な治療か?場合によっては却って高価ではないか?
Q 健康保険で処方できる範囲は?証と保険病名が合わないときはどうするか?多量に使いたいときはどうする(保険上)?
Q 漢方のジェネリックとは?
Q 行政刷新会議で漢方薬が一時保険適応外になりそうになった.今後もこういうことがあるのか?
Q 保険外の生薬を使いたいが,混合診療にならないか?
Q  「体質改善をしたい」というが,保険診療は可能か?「未病を治したい」は保険適応ではない.どうすればよいか?
Q 専門外の患者がきたので断ろうとしたが,「漢方は何でも診るのでしょう?」といわれた.どうするか?また,例えば心筋梗塞,急性腹症疑いの患者,がんの患者が「現代医学はいやだ,漢方で治療して」ときたらどうするか?
Q 鍼灸も取り入れたいが,保険請求できないという.どうすればよいか?
Q 日本漢方と中医学,どちらが優れているのか?日本漢方には古方とか後世方とか流派があるらしいが,違いは?どちらが優れている?
Q 多くの漢方医の頻用処方は20〜30種類だという.そんなに少なくてよいのか?
Q 古典が最良のテキストと言われたが,古典を勉強する意味は?古典を勉強する良い方法は?必読の古典は?
Q  『素問』の記述を論拠とするものが多いが,それほど正確な記述なのか?『素問』には天人合一を謳う場所が多い.気候と病気発生はまだしも,運気説みたいなものは本当か?
Q  『傷寒論』は万能か.『傷寒論』では足りない?温病の概念がないらしいが?
Q 外国人の患者が漢方治療を求めてきた.漢方の効果に人種差はないのか?白人や黒人に漢方治療は効くのか?漢方が本当に効くなら,アメリカなどでもっと使われてよいはず.実は効かないのでは?
Q 中国の処方をみると日本に比べ大量に生薬を使う.なぜか?
Q 漢方を本格的にやるには中国へ留学しなければならないのか?
Q 海外旅行する際に漢方薬を持ち運びできるか.問題はないか?あるいは国外で漢方薬を手に入れられるか?
Q 漢方薬は国家財産と主張する国があるというが,もしこの考え方が通ると日本にはどんな影響があるのか?

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【著者略歴】
入江祥史【いりえよしふみ】
 1965年 長崎市生まれ
 1991年 大阪大学医学部医学科卒業
 1995年 大阪大学大学院医学研究科修了(医学博士)
 2000年 ハーバード大学医学部生理化学センター留学
 2003年 慶應義塾大学医学部東洋医学講座助手
     同病院漢方クリニック医長
 2005年 慶應義塾大学医学部漢方医学講座非常勤講師
 2008年 証クリニック吉祥寺院長

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入江祥史 編著